UFOというのはあくまで「未確認」、つまりその正体がわかっていない「飛行物体」である。それが宇宙人の乗り物と正体がわかってしまえば、もはやUFOとは呼べない。宇宙船とでも呼ばなければならなくなるわけである。ニューヨーク・タイムズの報道で出ていた内容はあくまでUFOであり、その正体はいまだ不明である。

 ただ、過去のUFO関連の映像や画像とされるものについては、詳細な解析の結果、鳥や飛行機、星などの見間違いなどがほとんどを占めるということがわかっている。残念ながら、宇宙人の乗り物であると断定された目撃例は現在のところ1件もないのである。これまで70年以上私たちが騒いできたにもかかわらず、である。

 さらにはニセの画像や映像を作るということも多く起きている。その目的は、注目されたいというものから、企業やグループのプロモーションまで枚挙にいとまがない。もちろん、「これはニセモノです」と最初からうたっているならまだいいのだが、そうではないフェイク画像・映像もネット上に多数存在する。また、当初はちゃんとネタばらしをしているにもかかわらず、それがネット上を伝わっていくうちに情報が変わったりなくなったりすることで、いつの間にか「衝撃のUFO画像(映像)」になってしまうケースも多い。
(iStock)
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 私はUFOや宇宙人についてのテレビ番組や本を読み、その知識にどっぷり漬かって、その存在を信じていた時期があった。しかしあるとき、それが陰謀論という流れにハマっていることに気づいて、もっと大局的な視点から眺めなければいけないと反省したのである。

 陰謀論は、わからないものごとへの説明をものすごく簡略化してしまい、人間に安心感を与える。一方で、物事の真の姿を見つめるという姿勢を奪ってしまうものだ。空にみえる不思議な物体を「あれは宇宙人の乗り物だよ」と説明すれば、多くの人はそれで納得して安心してしまうだろうが、それが真実なのかどうかは置き去りにされてしまう。そのような姿勢を続けていけば、ものごとの真の姿を見るよりも、わからないがゆえに不安な自分に安心感を与えることを優先してしまいがちになる。そのような姿勢の先には、真実に基づく議論ではなく、信じたいものを信じてそれ以外をかたくなに拒否する、不幸な道が待っているだけである。

 今回話題になったUFOが本当に宇宙人のものなのかどうかと問われれば、私としては「調査はしなければならないとは思うが、おそらく(またもや)違うだろう」と答えるだろう。現在も公開されたビデオを元にいろいろな人が解析を行っているので、遠からずその結果が出てくることだろう。

 しかし、短いビデオだけでは解析にも限界がある。結局はウヤムヤなまま、長いUFOの歴史に「解明不能」というファイルがまた一つ増えるだけかもしれない。それでも私自身は、いつかある日、本物の「UFO」と出会えることを心待ちにしている。私が世の中のUFO情報を懐疑的にみているのは、そのいつの日かのためである。