ところが、オウムアムアの軌道を計算してみたところ、そもそも太陽系の脱出速度を超えていて、開いた双曲軌道になるらしい。それはつまり、太陽系の「外」から飛来したことを意味する。オウムアムアは、太陽系外の「上」から飛来し、太陽系の「レコード盤」の少し下まで行ってから、太陽の重力に引き戻され、「し」の字の軌道を描いて、再び太陽系の上へと飛び去っていった。まるで、NASAやJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙探査船が天体の重力を利用して軌道を変える「スイングバイ」ではないか。UFOファンでなくとも、どこかの宇宙人が飛ばした探査船ではないかと疑いたくなる。
太陽系の外から飛んできた小惑星「オウムアムア」の想像図(欧州南天天文台提供・共同)
太陽系の外から飛んできた小惑星「オウムアムア」の想像図(欧州南天天文台提供・共同)
 天文学者たちは、オウムアムアの周囲が金属ではなく30センチほどの炭素の膜で覆われているから宇宙船ではないと考えているようだ。確かに地球の宇宙船は金属で覆われているが、はるかに文明の発達した宇宙人が、宇宙船の外壁に金属ではなく炭素を使っていても不思議ではない。カムフラージュの可能性だって否定できないだろう。などと、いつのまにか私もUFOファンみたいな発言をしかけているが、未確認飛行物体という意味では、オウムアムアだって立派なUFOなのかもしれない。

 話を元に戻そう。私は、AATIPが極めて合理的な計画だと考えている。宇宙から観光客やロケット型の探査船がやってきているだけなら調査の必要もない。だからこそ、映画『バトルシップ』の冒頭シーンに出てくる「コロンブスとアメリカ先住民」というせりふは、実に意味深長だ。地球人が科学技術(=軍事力)で劣るのは明らかだから、その脅威がどれくらいかを調査しておくに越したことはない。全面戦争になったら地球は壊滅するだろうが、彼らとて何十光年も旅してくるにはコストが半端なく、おいそれと大軍団を送りこむことはできないはず。だとしたら、UFO情報をじっくり調査して、その脅威を同定し、局地戦で勝ち抜くための作戦を立てておいたほうが良いに決まっている。

 備えあれば憂い無し、取りあえずやっておこう…という思惑。おそらく、それが60兆円のうちの20億円という「調査費」の意味なのだ。

 個人的に、私はUFOが地球にまだやってきていないと考えてはいる。でも、オウムアムアが宇宙船の可能性は十分にあると思うし、宇宙に無数にあるゴルディロックスゾーンには、われわれみたいな知的生命体がゴロゴロしていると信じている。

 米国は合理的な予算で未知なる脅威を調査していたわけだが、日本はどうだろう。内閣調査室が実際にUFOや宇宙人の脅威に国家予算を注ぎ込んで準備しているだろうか。おそらくないだろう。

 『バトルシップ』では、米国と日本の軍人が協力して敵対的宇宙人の脅威に立ち向かったが、万が一のときは米国だけが戦うことになるのかもしれない。