2017年4月、韓国・釜山で開かれた就職説明会に
参加した若者ら(聯合=共同)
 韓国では2桁前後の高い若年失業率を構造的問題に求めるのが「通説」だ。一般的には、大卒の若者たちが大企業に就職希望を集中させる「雇用のミスマッチ」や、定年の延長効果によって新規採用が手控えられたことが指摘されている。だが、ここ数年の若年失業者の9~10%台への上昇は、経済成長の減速、そしてそれに伴う物価水準のデフレ傾向と歩みを同じくしていた。例えば、インフレ目標の中央値が3%であり、なおかつそれを上回るインフレ率であった当時の若年失業率は、高いとはいっても平均して7~8%台だったのだ。つまり、今でもインフレ目標を3%に高めれば、若年失業率を押し下げる余地がある。その意味で一段の緩和が韓国経済にとって効果的だろう。

 ただ、筆者は、さらに「一段」緩和が不可欠だと考える。文政権は公的雇用の増加や最低賃金引き上げに伴う企業への補助の大規模な財源が必要とされている。この財源調達においても、積極的な金融緩和政策が力になるはずだ。それが難しいのは、韓国政府が金融緩和政策をより進めると、自国の抱える対外債務がウォン安で膨らむことを懸念しているからだ、というのが「通説」である。だが、この種の懸念は賢明ではない。実際にインフレ目標が3%だったとき、韓国では対外経済危機が生じただろうか。むしろ韓国経済は輸出に大きく牽引(けんいん)されて好調だったのである。

 一方、貿易構造が似ていた日本の輸出企業は韓国のライバル企業に苦戦していた。なぜなら、当時の日本は事実上デフレ政策を採り、円高スタンスだったからだ。だから、今の韓国銀行が低いインフレ目標を採用し、金利引き上げスタンスを維持するならば、日本の競争企業にとっては幸運だろう。言い換えれば、韓国の輸出企業にとっては苦難を意味するのである。

 要するに、韓国にとって平昌五輪の経済効果はほとんど大したことはない。むしろ金融政策のあり方が、今までも、そしてこれからも韓国経済の命運の多くを握っていることになる。

 文政権は五輪期間中、「ほほ笑み外交」をはじめ、北朝鮮寄りの人気取り政策へあからさまに傾斜した。その政治的な成果は国際的には否定的だろう。それどころか、70%を超えていた大統領支持率が一時50%台に急落した世論調査でも明らかなように、韓国国内でも同様である。文政権の行方は、むしろ不十分な金融政策と、北朝鮮への過度な「融和」的姿勢の行方にかかっている。