まず、適切な人員配置ができていない。さらに、過度なノルマ設定、行き過ぎた成果主義になっているといった大きくこの二つの理由が考えられる。また重要なのは、管理職が部下の能力の把握や仕事のマネジメントをしていないためである。労働時間の中身(どのような仕事をどのくらいの量・期間でこなしているか)を知らずに掛け声だけでやろうとしていることが多いのではないか。単に時短を叫ぶだけでは、管理職にマネジメント能力がないと言っているのと同じである。

 では、どのようにして時短ハラスメントが起きない組織にしていけばよいだろうか。上司が部下の労働時間の管理と中身、仕事の進捗状況を把握し、一緒に考えていくことが重要である。部下は上司に逐一仕事の状況を報告する必要が出てくる。組織としては、人事考課や評価制度を変えていく必要があるのではないだろうか。

 現状、「労働時間×営業数字」という評価を採用している企業が多く、評価が労働時間至上主義になっている。労働時間を削減したい場合は、ここを改める必要がある。給与(評価)が下がってまで早く帰ろうと考える労働者はいないだろう。これが、長時間労働を生み出している一つの要因であることは間違いない。

 また、労働時間に寄与しない評価基準を今後作成していく必要がある。労働時間を評価から外すことで、真の意味での自由な働き方(働きたい人は働き、多く働かない人は自分のペースで働くこと)が可能になるのではないかと考えている。

 時短ハラスメントをしいている企業は、サービス残業を強いているとの認識を持ってもらいたい。サービス残業をさせないためには、組織マネジメント能力が必要になってくることを理解しなければならない。
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 やはり、働き方改革で長時間労働を画一的に禁止すると、日本企業の組織体系が画一的になる可能性がある。どこの企業も同じ組織マネジメントをやり、個性がなくなる可能性もある。「企業風土」と呼ばれるものがなくなる可能性も否定できない。もっと企業の自主性に任せたらどうだろうか。

 当たり前だが、仕事は内容によって必要な時間は異なる。はたして業種や企業規模を問わずに一律同じ内容の規制でいいのだろうか。何人も「働きたい権利」は、奪うことができない権利だと改めて認識すべきである。