東京・国税庁前では「納税者一揆」のデモ隊が庁舎を包囲し、「佐川を出せ!」と声を上げた。森友学園問題で虚偽の国会答弁をしていた疑いが取り沙汰されている佐川宣寿・国税庁長官への憤りが渦巻いているのだ。そして、2月16日から始まった確定申告会場でも怨嗟の声が渦巻いていた。

 東京・練馬区の税務相談会場から出てきた68歳の男性は、政府が掲げる「働き方改革」について語りはじめると次第に声が荒くなっていった。

「年金の他に多少のアルバイト収入があるから、源泉(徴収された税金)を取り戻すために申告に来ました。政府は働き方改革で70歳まで働きましょうというけど、じゃあどこで働けばいいんですか? ハッキリ言わせてもらえば、この年になると仕事はそんなにありません。私が生き証人です。

 年金だけでは生活できないから、何でもいいから職を探しているけど、見つからない。だから短期のアルバイトで食いつないでいる。その上、年金の支給をもっと先送りする案があるなんて話が報じられているが、どうやって暮らしていけというのか。ふざけるなと言いたい」
税理士会や税務署が用意している確定申告関連のパンフレット
税理士会や税務署が用意している確定申告関連のパンフレット
 高齢者たちは年々生活に重くのしかかってくる重税感そのものに不満を募らせ、やり場のない怒りのはけ口が「佐川長官」に向けられているのだ。関西でも取材した。所変われば、怒りの向け方も変わる。

「税務署はやっぱり怖い。顔さらして佐川さんの文句をいうたらあかん。マークされて後で追徴取られたら大損や」

 大阪の町工場の経営者は苦笑いして語ると、真顔になってこう続けた。

「でもな、今年は税務署の方が大変。批判が強いやろうからあまりえげつない税務調査はできひんのとちゃうか」

 実際、申告会場では「今年の税務調査は甘くなるらしい」という噂が飛び交っていた。大阪の税務相談会場(市民会館)で税務相談を担当するベテラン税理士がこう語る。

「相談者の5人に1人が、『今年はどんな申告でもやり放題なんですか』と聞いてくる。調査で書類の不備があったことを指摘しても、『データが消えた』『領収証をなくした』と言い訳され、嫌味をいわれるのが見えているから、税務署が手加減すると思われているわけです。

 しかも、今年から確定申告の際に医療費の領収証の提出が不要になりました。そのため、早速、『医療費の領収証をなくした。どうすればいいか』という相談も激増している。『領収証があってもなくても、実際に支払った金額を正直に申告をしてください』と答えるしかないのが現状です」

“一揆”は確実に広がり、国の根幹をなすはずの「税」を巡る秩序は崩れ去りつつある。

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