須田慎一郎(ジャーナリスト)

 言うところの「森友学園問題」をめぐる疑惑追及の動きが、まったくもって支離滅裂の展開となってきた。
 
 今現在、この一件に関しては一連の問題を国会で追及する野党、そして一部メディアの追及の矛先は、もっぱら佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官へ向かう展開になっている。
 
 そもそも、この疑惑のポイントは「なぜ国有地が格安で森友学園に売却されたのか?」ということに他ならない。もっと言えば、その売却にあたって、安倍晋三首相あるいは昭恵夫人からの働きかけや関与などがあったのかどうか、という点に尽きるはずだ。

 にもかかわらず、なぜ佐川長官が疑惑追及の矢面に立たされているのだろうか。少なくとも佐川長官は、問題となっている国有地売却交渉については、まったくのノータッチだ。この点については、もう既にはっきりしていると言っていいだろう。
 
 とどのつまり、野党や一部メディアが問題視しているのは、森友学園問題をめぐる佐川長官の過去の国会答弁なのである。

参院予算委で国交省の佐藤善信航空局長(右)と会話を交わす
財務省の佐川宣寿理財局長(当時)=2017年3月13日
参院予算委で国交省の佐藤善信航空局長(右)と会話を交わす 財務省の佐川宣寿理財局長(当時)=2017年3月13日
 佐川氏は財務省理財局長時代、近畿財務局と森友学園サイドの国有地売却交渉に関する交渉記録などの資料について、「すべて廃棄しています」と国会で断定調で答弁した。

 ところが今年2月9日になって、財務省が国有地売却交渉に関連する内部文書の公表に踏み切ったのだ。その内部文書とは、近畿財務局の担当者が局内の法務担当者に対し、一連の売却交渉に関して法的瑕疵(かし)の有無を照会するための文書だった。こうした資料が出てきたことで、佐川氏が「すべて廃棄しています」とした当時の答弁が「虚偽」とみなされてしまったのである。

 さらに、前述の内部文書の中身も問題となった。というのも、佐川氏は国会答弁で、近畿財務局と森友学園サイドとの一連の交渉に関して、「(売却)価格をこちらから提示したこともない」と説明したのだが、前述の内部文書の中で「当局(近畿財務局)が学校法人を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える」という下りが含まれていた。答弁と食い違う事実が出てきたことで、野党などは佐川氏のこれまでの答弁が虚偽だったとして、国会での証人喚問を求めるようになった。

 だが、ちょっと待ってほしい。そもそも森友学園問題に関して、いま最も重要なのは、事実関係を明らかにすることではないのか(筆者に言わせれば、既に明らかになっているが…)。

 その上で何らかの不正があれば、その責任の所在を明確にした上で、しかるべきところに責任を負わせるのが筋であろう。決して、一役人の「答弁ミス」を指弾することがコトの本質ではないはずだ。

 そういう意味で言えば、内部文書を探し出して公表に踏み切った財務省は、真相究明を進めるという一点においては、とりあえず協力姿勢を貫いたと言える。

 とはいえ、財務省の「協力姿勢」は、さらなる迷走劇を呼び込むことになる。3月2日付朝日新聞が、2015年から16年にかけて財務省が作成した内部文書に改ざんされた疑いがある、と一面トップで報じたのだ。