この内部文書は、近畿財務局が森友学園との間で学園用地の貸付や売買に関する契約を締結するためにあたって作成された「決済文書」という位置づけだ。朝日の報道によれば、実際に作成された時点の文書と、昨年2月に外部に開示された文書との間に差異があるという。

 具体的には、文書作成時には複数箇所で記載のあった「特例」などの文言が、開示時点では消えていたという。

 もっとも、そうした「特例」などの文言が何を意味するのかについては、残念なことに朝日の記事ではまったく解明されていない。そうした意味で、あまりにも思わせぶりな記事と言わざるを得ないだろう。

 しかし、財務省にとって誤算だったのは、前述の一件からもうかがえるように、野党や一部メディアの目的がそもそも真相究明ではなかったことである。彼らの最大の狙いは、森友学園問題を通じて、安倍政権にダメージを与えることにあると言っていいだろう。そうした意味で、これはあくまでも「政治的パフォーマンス」に過ぎないのである。

 もっとも問題となっている件の土地は、関西の裏事情に通じた者ならすぐにピンと来る、まさに「呪われた一帯」なのである。そもそも件の土地は、単なる「国有地」ではない。もともとは、2016年3月末まで国営空港だった伊丹空港の付属地とも言える土地だった。従って実質的な所有権は、国土交通省ということになる。

 それは、この土地に関する登記簿謄本を丹念に追っていくことで見えてくる。

 土地の所有権は登記上、2012年10月に国から新関西国際空港株式会社(新関空会社)に移転している。同社はのちに関西空港と伊丹空港の運営権を譲渡される民間企業「関西エアポート」の前身である。このことから考えても、問題の土地が伊丹空港とワンセットだったことは明らかだろう。
 
 しかし、新関空会社は、この土地の取得に極めて後ろ向きだったという。関西エアポートサイドを取材してみると、国に対して次のように申し入れていたことが分かった。

 「あの土地も含めてトラブルを抱えている不動産の取得はお断りする」

 国にしてみれば、民間の大手不動産会社の協力を得る形で、それこそ全力を挙げて問題物件の売却に動いていたのである。最終的に森友学園に売却することになった件の土地について、国側の本音としては「損をしない限り、いくらでもいいから、早急に売却したい」というものだったのではないだろうか。

「森友学園」に売却された大阪府豊中市の国有地
=2017年11月、大阪府豊中市(彦野公太朗撮影)
「森友学園」に売却された大阪府豊中市の国有地
=2017年11月、大阪府豊中市(彦野公太朗撮影)
 しかし結局のところ、伊丹、関西両空港のコンセッション(民営化)に関する作業が完了するまでに、土地売却に決着をつけることができなかった。

 だからこそ、その所有権は前述したように、いったん新関空会社に移転することになる。そして国と森友学園サイドとの売却交渉に決着がつく直前になって、登記簿上はその所有権が「錯誤」という形で新関空会社から国へ戻ったのである。

 「錯誤」を理由にするとは、あまりにも不自然すぎる感は否めないが、それもこれも新関空会社が交渉当事者になることを嫌ったからである。

 メディアは、これまでこうした一連の経緯をまったく報道していないが、これがあの土地売却をめぐる一連の真相なのだ。

 こうした事実一つ踏まえても、まだ佐川長官に何らかの責任がある、と追及することに意味を感じるだろうか。

※編集部より一部訂正について
 記事中、掲載時に「土地の所有権は登記上、2016年4月に国から関西エアポートに移転している」としていた部分は「土地の所有権は登記上、2012年10月に国から新関西国際空港株式会社(新関空会社)に移転している」の誤りでした。また、記事中の「関西エアポート」は「関西エアポートサイドに取材してみると」の部分以外は、「新関空会社」の誤りでした。いずれも修正しています。