2018年3月、森友学園問題の真相解明などを求め、
デモ行進する参加者
 一つは、いわゆる加計学園についての「総理のご意向」報道である。インターネットでも読めるが、新聞に掲載された文書はなぜか周囲にぼかしが入っていて読みづらい。しかも、記事の見出しである「総理のご意向」は、そのぼやけてよく見えない部分に記載されているように、「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」という個所と合わせて読むと、かなり違った印象になるだろう。総理の指示ではないが、総理の指示のように官僚たちが勝手に動いたともとれるからだ。だが、この記事だけではないが、加計学園の獣医学部新設に安倍首相自らが積極的に関与したかのような印象が当初広まった。だが、因果関係はいまだに一切立証されていない。

 もう一つは、森友学園が新設しようとした小学校の名前が「安倍晋三記念小学校」であるという報道である。朝日新聞の取材に応じた森友学園前理事長、籠池泰典氏の発言によるものだったが、開示された小学校の設置趣意書に記されていた新設小学校は「開成小学校」であった。しかも、首相や昭恵夫人の名前も一切記載されていなかったのである。その後、国会で安倍首相自身が何度も朝日新聞を批判している論点にもなった。激しい政治的対立の論点になっているものに対して、一方の当事者の発言を裏付けもとらないまま掲載すること自体、やはり朝日新聞は批判を免れることはできないだろう。

 この2点だけを挙げただけでも、モリカケ問題に関する朝日新聞の報道は、個人的には慎重に読まざるを得ない。もっとも、率直に言って、筆者はどの新聞の報道も、特に政治や経済問題については、そのまま真に受けないことにしている。

 今回の報道も先に指摘したように、その朝日記者が確認したという文書Bを文書Aとともに掲示すべきだった。今のままではこの記事をもとに何を正せばいいのかわからない。

 ただ、財務省の文書「書き換え」が実際に行われ、それが社会的に批判されるべきものだとしよう。念を押すが、これは現段階であくまで仮定の話である。その前提であれば、問われるべきは、近畿財務局という一地方部局の担当者、それに加えて公的データや資料の保管・廃棄ルールにすでに不備が見つかっていて、さらに仮の話としての「書き換え」問題が発生した財務省の責任である。

 公有地をめぐる交渉ミスは批判されるべきだが、犯罪とは言えないだろう。しかし、公文書の管理の問題はそれとは異なる可能性がある。国家的な損失にこれからも直結する問題になるからだ。それを踏まえても、今回の安倍政権退陣ありきの論調は、「文書の書き換え」と安倍首相の責任との因果関係が不明な議論にとどまっている。安倍政権を批判するなら経済政策を含めて、いくらでもまともな手法があるだろう。消費増税のスタンスをいまだに採用していることがその典型だ。

 他方で、財務省などの官僚たちの問題を追及するのは正直いい機会だと思っている。それぐらいの成果がないと、「安倍退陣」という政治的目的に延々と振り回されてきた国会で浪費された時間が報われないからだ。