2018年03月07日 11:05 公開

米ホワイトハウスは6日、ギャリー・コーン国家経済会議(NEC)議長(57)が辞任すると発表した。ドナルド・トランプ米大統領による鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税導入に対して、自由貿易支持者のコーン氏が反発したのが原因ではないかとみられている。トランプ政権では昨年来、広報部長や秘書官、戦略官など、ホワイトハウスの主要ポストから辞任・解任が続いている。

ホワイトハウスが発表した声明で、コーン氏は「自分の国に仕え、歴史的な税制改革の成立など米国民の利益になる、成長志向の経済政策を導入するのは名誉なことだった」と述べた。さらにコーン氏は声明で、「この機会を与えてくれた大統領に感謝している。大統領と政権のさらなる成功を祈る」とコメントした。

ホワイトハウスによると、具体的な辞任の期日はまだ決まっていない。

政府関係者は、「ギャリーは数週間前から大統領と、そろそろ自分は外に出る時期だと相談していた」と話した。

トランプ大統領は声明で、コーン氏について「希有な才人」と称えた。「われわれの政策課題を見事に推進し、歴史的な減税や改革を実現し、米経済を再び解き放つため、大いに協力してくれた」と評価し、「稀有な才人で、米国民に心をこめて奉仕してくれたことに感謝する」と述べた。

発表後にトランプ氏はツイッターで、コーン氏の後任について「新しい国家経済会議議長の人選を間もなく決める。希望者は大勢いる。賢く選ぶ!」と書いた。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/971186041171439616

コーン氏の辞任発表に先立ち同日、大統領はツイッターで「ホワイトハウスがカオス状態だというのが、フェイクニュースの新しい物語展開だ。違う! 人はいつだって出たり入ったりする。自分は最終決定の前にしっかり話し合いたい。まだほかにも変えたい人はいる(常に完璧を目指す)。カオスなどない、素晴らしい活力だけだ!」と書いていた(太文字は原文では大文字による強調)。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/971006379375972354

金融大手ゴールドマン・サックスの社長兼最高執行責任者(COO)だったコーン氏は、昨年成立した包括的税制改革に向けてトランプ氏を支援した。ただし、2人は決して親しくはなく、昨年8月にバージニア州シャーロッツビルで極右集団の集会を機に1人が死亡した際、トランプ氏が極右集団だけでなく、極右集団に抗議した人たちの双方に非があると発言し、多方面から非難された際、コーン氏も大統領を批判し、政権は「もっと正しく反応できるし、そうしなくてはならない」と発言していた。コーン氏はこの時点で、辞表を書いたと報道された

ホワイトハウスでは2月28日、大統領選からトランプ氏に特に近い側近として仕えたホープ・ヒックス広報部長(29)が辞任を発表したばかり。トランプ政権の広報部長辞任は4人目となった。

ヒックス氏は辞任発表の前日、大統領選へのロシアによる介入を調べる下院情報委員会で証言していたが、ホワイトハウス関係者はそれが辞任の理由ではないと話している。

<解説> 新方向のさきがけか――アンソニー・ザーカー、BBCニュース、ワシントン

ギャリー・コーン氏はある意味で、奇妙な土地になじまない変り種だった。共和党のホワイトハウスにおける民主党側の人間だった。経済ナショナリズムを掲げて当選した大統領のために働く、経済グローバル主義者だった。そして今となっては、トランプ氏の保護主義が、経済政策の最高顧問を出口へと追いやったように見える。

意外な展開ではない。複数の消息筋によると、鉄鋼とアルミニウムへの懲罰的な輸入関税導入をめぐり、政権内では激しい争いがあったようで、最終的には大統領自身がいきなり綱引きに決着をつけた。

そもそもコーン氏は、昨年8月のシャーロッツビルの衝突に際して、大統領が一部の白人至上主義者に温かい言葉をかけたことに、非常に居心地の悪い思いをしていた。それでも政権に留まったのは、昨年の税制改革案成立を見届けるためだけだったとうわさされていた。

トランプ氏に忠誠を尽くす政権関係者は、コーン氏を迷惑なよそ者扱いしていたとも言われている。その一方で外部の人間は、特に金融関係者は、大統領の娘イバンカ・トランプ補佐官やその夫のジャレッド・クシュナー上級顧問と並んで、コーン氏は大統領の極端な言動をより穏健なものに抑制してくれる存在だと期待していた。

そのコーン氏は近く政権を去る。そして、イバンカ氏とクシュナー氏の影響力はかなり低下しているようにみえる。一連の動きは、ホワイトハウスの鋭い方針転換を指し示しているのかもしれない。


(英語記事 Gary Cohn: Key Trump economic policy adviser resigns