いずれにしても、パンダハガーたちの活躍で中国は巨額の援助と技術協力を得た。タダ同然の人件費と緩すぎる労働規制に便乗し、多くの企業がチャイナビジネスで儲けた。その結果、中国経済は大きく成長し、国民は前よりは豊かになった(はずだ)。
 
 ところが、中国が民主化する兆しは一向に表れなかった。共産党の一党独裁すら終わらない。それどころか、最近では一党独裁どころか終身国家主席まで誕生した。まさに文字通りの独裁国家の誕生だ。「経済成長すると民主化する」などという話はデタラメだったのだ。

テレビ放送で演説を行う習近平国家主席=2017年1月
テレビ放送で演説を行う習近平国家主席=2017年1月
 困ったのは世界中のパンダハガーたちだ。これでは中国を表立って擁護できない。そんなとき、ちょうどアメリカで厳しい制裁関税が決まった。鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品には10%という効率の関税を課すターゲットは間違いなく中国だ。日経新聞は次のように報じている。
 

 ウィルバー・ロス商務長官やピーター・ナバロ国家通商会議委員長ら、通商問題の強硬派が今回の措置では主導権をとった。ゲーリー・コーン国家経済会議委員長ら、中国との経済関係への悪影響を懸念する人たちは、押し切られた格好である。

 今回の制裁関税の適用が、米国の安全保障への脅威を理由にしているのは、注目に値する。普段は注目されていないが、米国の通商法には戦時措置として導入され、その後も続いているものが多い。その発動は外部からみれば、かなり恣意的にみえる。

 トランプ政権は昨年12月の国家安全保障戦略などで、中国について、米国の国益や国際秩序に挑む「修正主義勢力」との位置づけをはっきりさせた。中国はロシアと並んで現状変更をもくろむ勢力。米国はその挑戦を阻まなければならないというわけだ。(日本経済新聞 2018.3.6

 これだけではない。3月5日に、中国勢が率いる投資家グループによる米シカゴ証券取引所(CHX)の買収案が白紙展開された。この案件は2月半ばの段階で、米証券取引委員会(SEC)が問題視していたのだが、件の投資グループはこの逆風の強さに諦めざるを得なかったようだ。

 これらはほぼ中国を名指して問題視した結果だが、アメリカ国内のパンダハガーからは何の声も上がらなかった。アメリカの左派も一応はリベラルを標榜(ひょうぼう)している。自由と民主主義を建前とする以上、文字通り独裁国家となった中国を表立って擁護できるわけがない。