そういえば、トランプ政権が誕生した直後のあるテレビ討論で、「トランプ政権下で米中は接近する」と豪語した学者がいた。また、北朝鮮を巡って「アメリカは中国頼みだ」などと、米中が接近しているかのような記事もあった。今起こっていることのどこが米中接近なのだろうか? 完全にハズレだ。

 評論家の江崎道朗氏によれば、中国によるオーストラリアのダーウィン港の租借でそこを拠点としていたアメリカ海兵隊は激怒したそうだ。また、イギリスは中国によるオマーンのドゥクム港工業団地整備やアラブ首長国連邦のハリファ港の港湾利権獲得を問題視し、再びスエズを越えてロイヤルネイビーを展開しようとしている。昨年8月にメイ首相が日本を訪問。今年に入ってTPPに参加する検討を始めた。日本とは準同盟国の関係にあり、日英同盟復活は近いのではないかという人もいる。

 3月2日、ニュージーランドのピータース外相は、中国の「一帯一路」構想への協力を見直すと述べた。ピータース氏は「前政権が拙速に署名したことが強く悔やまれる」と述べた。ちなみに、昨年9月ニュージーランドのジャン・ヤン氏という中国出身の議員が中国のエリートスパイ学校とのつながりから、情報機関の捜査対象となったと報じられている。

 中国が周辺諸国のみならず、欧米先進国の神経をも逆なでし続けている。それはまるで自分を包囲してくださいと言わんばかりだ。そして、習近平が今回「終身独裁者」となったことは中国の外交に決定的なダメージを与えた。まさにルトワックが予言した通りの展開である。これが、いわゆる国際政治における「バランシング効果」だ。突出しすぎる国は周辺諸国に警戒され、包囲されて潰される。戦前の日本はまさにこの罠に嵌った。どうも今度は中国の番らしい。

ベトナム・ダナンの港にいかりを下ろした米原子力空母カール・ビンソン(中央)=2018年3月5日
ベトナム・ダナンの港にいかりを下ろした米原子力空母カール・ビンソン(中央)=2018年3月5日
 3月5日、アメリカ海軍の原子力空母「カール・ビンソン」がベトナムのダナン港に到着した。ベトナム戦争終結後、実に約40年ぶりのベトナム寄港だ。これは何を意味するのか? そして、これだけ重要なニュースを日本のマスコミがちっとも大きく報道していない。まさか内部に時代遅れのパンダハガーを抱えているのでなければよいが・・・。