2018年03月08日 11:40 公開

英警察は7日、イングランド南西部ソールズベリーで4日に意識不明で見つかったロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)と娘のユリアさん(33)に神経剤が使用されたと発表した。

ロンドン警視庁の対テロ責任者、マーク・ロウリー警視監によると、倒れていた2人を助けた警官も入院しており、重体だという。

ロウリー警視監は、使用物質は特定済みだが、現時点では公表しないと述べた。

ロウリー氏は、「神経剤による殺人未遂という重大事件として対応している」とし、「症状の原因が神経剤だと認定できた。(中略)具合が悪くなった2人は個別具体的に標的にされたのだと、我々は認識している」と言明した。一方で、市民の幅広い健康リスクは確認できないという。

入院中の警官のほか、警官2人が手当てを受けたが、すでに退院している。警官たちは目のかゆみや息苦しさを訴えていたもよう。

スクリパリ氏と娘は、ソールズベリーにあるマルティングス・ショッピングセンターの外のベンチで倒れているところを発見された。

警察は、事件当時に市中心部にいた人たちに情報提供を呼びかけている。警察は特に、4日の午後1時から4時にかけて、近くのレストラン「ジッジ」やパブ「ザ・ビショップ・ミル」の利用者から重要情報が得られる可能性があるとみている。

ソールズベリーにあるスクリパリ氏の自宅前は立ち入り禁止となっており、鑑識用の黄色いテントが設置されている。警察が建物の中に装置を持ち込んでいる様子も見られた。

ロウリー氏は、刑事や法医学専門家、分析官、情報機関の職員の総勢数百人が24時間体制で、捜査に当たっていると語った。ソールズベリーでの捜査活動は今後数日続く可能性があるという。

英医学物理工学研究所(IPEM)のマルコム・スパーリン教授は、「神経剤にさらされた際の症状には、呼吸停止、心不全、けいれんや発作など、神経の制御能力低下が影響する体のあらゆる場所に表れる」と語った。「神経剤によって死に至ることもあるが、触れた量が限定的、あるいは少量の投与の場合には、死ぬとは限らない」。

リーズ大学で環境毒性学を教えるアラスター・ヘイ名誉教授は、「神経剤は製造が難しく危険だ」と話した。

英内務省の公開調査委員会は2016年1月、2006年にロンドンで死亡したロシアの元情報将校、アレクサンドル・リトビネンコ氏は、ウラジーミル・プーチン露大統領の了承の下で暗殺された可能性が高いと結論付けた。

ボリス・ジョンソン英外相は6日に、ロシアの関与を示すいかなる証拠も「断固として処理する」と述べている。

一方、ロシアはこの事件に関して「何も知らない」としつつ、英国警察から要請があれば協力する用意はあるとしている。

(英語記事 Russian spy: Nerve agent 'used to try to kill' Sergei Skripal