高橋学(立命館大環太平洋文明研究センター教授)
                      
 2011年3月11日に東北日本を襲った東北地方・太平洋沖地震(東日本大震災)から7年が経過した。ゆえに東日本大震災は過去のものとして、メディア、行政、住民などの間では「復興」に話題の中心がシフトしてきている。だが、本当にそれだけでいいのだろうか。筆者には、はなはだ疑問に思われる。

 なぜならすでに新燃岳の火山活動が活発化しており、筆者は、直下型地震、プレート型地震、火山噴火との間に密接な関係があると考えているからだ。そもそも、これら3つの現象を引き起こすのは、東北日本の場合、北米プレートとその下にもぐり込む太平洋プレート、西南日本の場合にはユーラシアプレートとその下にもぐり込むフィリピン海プレート4枚のプレートの動きがカギを握っている。そこから導き出せる結論は、新燃岳の噴火などは、筆者が「南海トラフ地震」を四国沖—東海沖地震に範囲を限定せず、「スーパー南海地震」と呼ぶ巨大地震の前兆であり、2020年の東京五輪までに起きる可能性が極めて高いということだ。

 「スーパー南海地震」は名古屋や大阪などの大都市に津波がおよぶため、筆者の推計では、津波などによる死者と行方不明者が47万人以上にのぼるとみられ、日本はこの巨大地震に備え、その到来を覚悟しなければならない。

 では、これらのプレートや火山の動きを5つのステージごとに確認し、「スーパー南海地震」や火山の大規模噴火が起きるメカニズムを検証してみよう。

 まず、「ステージ1」である。相対的に上にあるプレート(東北日本の場合=北米プレート、西南日本の場合=ユーラシアプレート)が、もぐり込むプレート(東北日本の場合=太平洋プレート、南西日本の場合=フィリピン海プレート)の圧縮で歪(ひず)み、限界を超えると直下型地震が発生する。直下型地震では揺れの周期が約1秒であり、一戸建て住宅が倒壊しやすく「キラーパルス」ともいわれる。

 1896年に岐阜県根尾谷を震源として発生した濃尾地震では、岐阜市、大垣市、一宮市周辺において、住宅倒壊率が80~100%であった。このステージに発生した直下型地震として、1995年の兵庫県南部地震(阪神大震災M7・3)や、2000年の鳥取県西部地震(M7・3)などがある。

 「ステージ2」は、もぐり込むプレートが相対的に上にあるプレートのマグマだまりを圧縮し、火山が噴火する。この時、マグマが噴出したり、水蒸気爆発が起きたりする従来知られている火口からかは定かでない。このステージではマグマだまりにあるマグマが出きってしまえば、噴火は休止する。噴火は比較的短期間で小規模である。

 ただし、噴火口近くに観光客などがいて被害がでる恐れはある。地震とその被害である震災とが違うように、噴火と火山災害も同じではない。今年起きたフィリピンのマヨン山噴火や2011年前後からの阿蘇山、霧島新燃岳、桜島の噴火、14年の木曽御嶽山噴火などがこれにあたる。
噴煙を上げる宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃岳=2018年3月2日
噴煙を上げる宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃岳=2018年3月2日
 桜島の噴火活動に注目すると、波打ちながらも2005年まで減少し一時ほとんど停止した。しかし、その後反転し、東日本大震災の起きた11年に噴火回数が観測史上最多の1355回に達した。ただ、15年10月にはユーラシアプレートの中のマグマたまりにマグマがほとんど無くなり噴火が停止した。そして、17年3月になると再び噴火が起きるようになったのである。

 これまで、西南日本が位置するユーラシアプレートでは、フィリピン海プレートの影響を受けるだけで、太平洋プレートの影響を受けるとは考えられていなかった。しかし、上記のようにフィリピン海プレート自体の動きも太平洋プレートの影響を受けているし、ユーラシアプレートの火山活動にも間接的に関与していると思われる。