次に「ステージ3a」であるが、表1に示したように、相対的に上にあるプレートで歪に耐えかねて、比較的大規模な直下型地震が発生する。1943年の鳥取地震、2008年の岩手・宮城内陸地震、16年の熊本地震、鳥取県中部地震などがこれにあたる。同年に韓国で起きた慶州地震、17年の浦項(ポハン)地震はユーラシアプレートの歪が大きく、通常、地震の少ない韓国においてすら活断層が活動したことを示している。また、フィリピン海プレートの圧縮を受けるフィリピン地震(17年)、台湾地震(18年)も同様なメカニズムによる地震である。
 さらに、熊本地震を、東アジアという視点でみるならば、アリューシャン列島、カムチャッカ半島などから熊本を経てフィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島方面まで、同日に規模の比較的大きな地震が発生したことは意外に知られていない。この日の地震は熊本にとどまるものではなかったのである。

 しかし、メディアは、熊本と大分に限定して地震の状況を発表していた。阿蘇山を挟んで西側と東側に震源を持つ地震は、日本最大の活断層である中央構造線と関係することは明白であった。放送する映像の範囲をやや広域にとるだけで、西は鹿児島県の川内(せんだい)原発が、東は愛媛県伊方原発が視野に入ってくるのを意図的に避けたと思わざるを得ない。現在の西南日本はこのステージに属する。

 筆者が「南海トラフ地震」を「スーパー南海地震」と呼んでいるのは、フィリピン—台湾—琉球列島—南海—東南海—東海に広がるフィリピン海プレートとユーラシアプレートの接触する範囲全体を視野に入れているからである。1944年の昭和東南海地震(M8・2)や46年の昭和南海地震(M8・0)というプレート型地震の前に43年に発生した昭和鳥取地震(M7・2)や45年に発生した昭和三河地震(M6・8)などがこのステージにあたると考えられる。

 東日本大震災の3年前に起きた岩手・宮城内陸地震や、その後の熊本地震、韓国の慶州(キョンジュ)地震、鳥取県中部地震、韓国の浦項地震などは、「スーパー南海地震」の前段階にあたる。ユーラシアプレートの歪は、すでに韓国南東部まで及んでいる。ゆえに、経験則によれば、「ステージ3a」からプレート型地震まではおよそ3年。「スーパー南海地震」は、2020年の東京五輪までに発生する可能性が高いのである。

 次に「ステージ3b」をみてみよう。東日本大震災のように、太平洋プレートに引きずり込まれていた北米プレートが跳ねあがり、巨大地震と津波を生じさせるのがこのステージだ。西南日本では、1944年に昭和東南海地震、46年に昭和南海地震が発生したが、この時、東海沖地震は発生しなかった。長年にわたって東海地震が注目され続けたのは、これがいつか起きると想定されていたためである。

 しかし、地震考古学者、寒川旭氏の研究によれば、南海地震、東南海地震、東海地震の3つが常に起きていたわけではないことが明らかにされている。南海、東南海しか地震が起きない場合と、全部が地震を起こす場合が交互に繰り返してきたらしい。この次は西南日本で少なくとも3つの地震が連動する可能性が高いという。

 ただ、プレート型地震は揺れの周期が約5秒と長く、高層・超高層ビルは大きく揺れるが、一戸建住宅の倒壊は少ない。1944年の昭和東南海地震の場合、濃尾平野の南西端の最も軟弱地盤が約90メートルと厚いところでも倒したのは5~10%であった。プレート型地震の被害は津波によるものが大部分を占めるのである。