たとえば2013年5月6日の山梨県「富士桜カントリー倶楽部」でのゴルフ。ゴールデンウィークに首相主催で行なわれた4組のミニコンペだが、そこには籔本だけでなく、首相補佐官や秘書官、内閣官房参与も集った。二組目が萩生田光一(現・自民党幹事長代行)、中山泰秀、籔本雅巳、大阪大学医学部大学院教授の森下竜一のパーティだ。

 ここに出てくる森下と籔本の付き合いも古く、濃い。大阪市内のある病院長に聞くと、こう話した。


2017年5月、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて
報道陣の取材に応じる安倍晋三首相。右は萩生田光一官房副長官
「籔本先生と森下先生は阪大医学部の同級生かと思っていました。そのくらい仲がよく、いっしょに飲んだり食べたりしていますよ」

 籔本は55歳の森下の2つ上にあたり、同級生ではない。「錦秀会」幹部によれば、籔本は関西医大から阪大大学院に進み、そのときに森下と知り合ったようだ。

 森下は、2003年から大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授に就任。日本における遺伝子治療研究のスペシャリストだ。予防医学やアンチエイジングを謳う「日本抗加齢医学会」の副理事長も務めてきた。医療ビジネスを展開する籔本に、森下は大学の研究者として協力してきた。

 安倍との関係でいえば、森下は第二次安倍内閣が発足するや、2013年1月23日、内閣府「規制改革会議」の委員に抜擢される。さらに3月18日には、首相が本部長を務める「健康・医療戦略本部」の参与に就任した。GWのミニゴルフコンペは、その1か月半後だ。森下は医療分野における安倍政権のアドバイザーとして尽力してきた。

 森下は、日本維新の会とのつながりも深い。2013年4月17日に「大阪府・市統合本部医療戦略会議」参与、2016年6月28日には大阪府知事の松井一郎が進める「日本万博基本構想」委員となり、維新の会と連携してきた。憲法改正で歩調を合わせる維新の会を、首相の安倍や官房長官の菅義偉がバックアップしてきたのは言うまでもない。

 籔本雅巳と森下竜一──。奇しくも彼らの動きは、安倍政権の進める医療政策と足並みが揃っている。とりわけ第二次政権発足以降、安倍は先端医療や高齢者向けの医療・介護を成長産業と位置付けて力を入れてきた。そこに橋下徹や松井一郎という維新の会が打ち出した政策が複雑に絡み合い、それぞれが果実を得ようとしているかのように見える。