潮匡人(評論家)

 iRONNAのサイト内で「森友」を検索すると、次の見出し記事がヒットする。《「森友劇場」はもう飽きた! 辻元問題を黙殺した嘘つきメディアの大罪》。筆者は他ならぬ私である。一年前くらいの拙稿だと思うが、掲載ページに日付がなく確認できない。文書にとって日付は命。とくに公文書はその要請が高い。日付がないと、いつ決裁(発令)されたのか、後で分からなくなってしまう。だから自衛隊の「行動命令」でも、最初の行に「命令番号」、次に「発令年月日時刻」を記す(様式となっている)。

 既出拙稿の掲載時期が明記されていないが、この場を借りて改善をお願いしたい。とくに当該拙稿は、そうでないと困る。なぜなら、問題の質が一変し、もはや「飽きた」と言えなくなってしまったからだ。拙稿は最後をこう締めていた。《もう、森友劇場は閉じよう。私は見飽きた。もはや国会の質疑に興味もわかない》。これを、いま目にする読者がどう感じるか。想像するだけで気分が滅入る。

 文書の日付(が示す、いつ)に加え、誰が、誰に宛てた文書かも重要である。そう、公務員時代に教育指導を受けた。文書審査の担当課で勤務したこともある。公文書について一定の経験を積んできた私も、3月2日以降の急展開には驚いた。

 文書「書き換え」を報じた同日付朝日新聞朝刊一面トップ記事について、今さら詳しく紹介する必要はあるまい。その後、産経新聞も「情報公開法に基づく開示請求後に書き換えていた」と報じた(3月12日付朝刊一面トップ)。産経によると「1つの文書から交渉の経緯などを削除しようとしたところ、玉突きで次々に書き換えせねばならなくなった」「価格交渉したと受け止められかねない部分について開示請求後に削除したとみられ、財務省理財局の職員が関与した疑いが強い」という。

 ならば、誰が削除を命じたのか。毎日新聞は「佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官が理財局長を務めており、売却の経緯を説明する責任者として書き換えを指示したとみられる」と報じた(3月11日付夕刊)。だとしても、佐川氏一人の責任ではない。財務省および安倍政権の責任である。にもかかわらず、私が「安倍マンセー保守」と揶揄(やゆ)する陣営は朝日報道を否定し、政権を擁護し続けた。

 政権自身も、たとえば佐川氏を「これまでの識見、経験を見ても極めて有能」(麻生太郎財務相)とかばい続けた。そして、ついに佐川氏が辞任すると、森山裕・自民党国対委員長が国会内の記者会見でこう放言した。
国税庁長官の辞任が決まり、財務大臣室へ向かう佐川宣寿氏=2018年3月9日、財務省
国税庁長官の辞任が決まり、財務大臣室へ向かう佐川宣寿氏=2018年3月9日、財務省
 「職を辞されるということは非常に重いこと。トカゲの尻尾ではなく、国税庁長官はアタマだと思う。(野党が求める佐川氏の国会招致については)一般人になられたわけで、難しくなったと申し上げた方が分かりやすいのではないか」。まさに「トカゲの尻尾切り」。汚れたホンネが露呈している。どう見ても「美しい日本」(安倍首相)とはほど遠い。