2018年03月13日 14:33 公開

ファーガス・ウォルシュ医療担当特派員

高齢になってからも運動を多く行うことで、免疫系の衰えを防ぎ、感染症を予防できることが、英国で実施された調査で分かった。調査に基づく論文は今月8日に、英科学誌「エイジング・セル」に掲載された。

125人の長距離サイクリスト(現在80代の人も含む)を調査したところ、その免疫系は20歳相当のものだったという。

今回の調査に参加し、論文の共同著者でもあるキングス・コレッジ・ロンドンのノーマン・ラザルス教授(82)は、「もしエクササイズが錠剤だったら、誰もが飲んでいただろう」と話した。「エクササイズは、体、心、筋肉、免疫系に幅広い恩恵をもたらす」

論文の共同著者、バーミンガム大学の炎症・老化研究所の所長ジャネット・ロード教授は、「免疫系は20代以降、毎年約2〜3%の割合で衰えていく。高齢者が感染症、リウマチ性関節炎や、可能性としてはがんのような疾患に感染しやすいのはそのためだ」と語った。

「サイクリストの免疫系は70歳や80歳ではなく20歳のもののため、こうした問題に付加的な防御力を備えていることになる」

研究者らは、血液中のT細胞のマーカーを調べた。T細胞は、免疫系が新たな感染症に反応する手助けとなる。

T細胞は胸腺で作られるが、胸腺は通常、成人すると小さくなる。

「息切れ」

研究者らは、実験に参加した長距離サイクリストが20代の成人と同じ水準のT細胞を作り出していることを発見した。活動的でない高齢者のグループのT細胞は非常に少なかった。

研究者らは、高齢で体をよく動かしているとワクチンに反応しやすくなり、そのため、例えばインフルエンザなどの感染症を防ぐ力が増すと考えている。

調査の共著者であるキングス・コレッジ・ロンドンのスティーブ・ハリッジ生理学教授は、次のように述べた。「座ったままで運動しないというのは、進化に反する。というのも、人間の体は活動的であるようにできているのだ」。

「恩恵を受けるのに、競技レベルでのスポーツ選手や長距離サイクリストである必要はない。動けるものなら何でも良く、少し息が上がるくらいが役立つ」

ハリッジ教授とラザルス教授は、体をよく動かす高齢者は、生物学的老化の実際の影響を分析するのに最適な人たちだと考えている。

エイジング・セルに掲載された別の論文によると、今回の調査に参加したサイクリストたちには、筋肉量の低下や体脂肪の増加がみられなかった。これらは通常、老化に伴うものだ。

イングランド南部のサリーで行われたモーニング・ライドで、このサイクリストたちの多くに私は会ったことがある。ひどく寒かったにもかかわらず彼らは例外なく明るく、どんな天気でも自転車に乗り慣れているのは明らかだった。

このサイクリストたちは、100キロから300キロのさまざまなイベント企画を行う長距離自転車の組織オダックスの会員だ。

80代の高齢メンバーは、自分たちは「短い」100キロしか走らないと話しているが、それでもかなりのものだ。

なぜ自転車に乗るのか

パム・ジョーンズさん(79)はこう話してくれた。「健康のためにしている。人と交流できるし、自転車が与えてくれる自由を楽しめるから」。

ブライアン・マトキンズさん(82)は、「今回の医学調査で最初にもらった結果で、私の体脂肪は19歳に匹敵すると言われた」と話した。

わずか64歳のジム・ウッズさんは、このグループの中ではかなりの若者だ。ウッズさんは平均で週100マイル(約160キロ)自転車に乗るが、夏季はさらに長距離になる。

「健やかでいるため、それから英国の美しい田舎を楽しむために自転車に乗る」とウッズさんは話した。

自転車を60マイル(約96.5キロ)以上漕ぐのが楽しいとは思えない人もいるかもしれない。しかしこのサイクリストたちは、自分が楽しめるものを見つけた。そして彼らが続けている主な理由が、まさにそれなのだ。

(英語記事 How exercise in old age prevents the immune system from declining