滝沢ななえ(元バレーボール選手)

 2016年のリオ五輪・パラリンピックでは、セクシュアルマイノリティーをカミングアウトした選手が50人以上で過去最多となり、話題になりました。2014年、オリンピック憲章に「性的指向による差別禁止」が明記されたことも背景にあって、エンブレムに「多様性と調和」のメッセージを込めた2020年の東京五輪がどうなるのか、世界が注目していると思います。

 一方で、日本の現役選手で今、カミングアウトしている人はいません。もちろんカミングアウトすることが全てではありませんが、引退したスポーツ選手でもカミングアウトしているのはわずか数人というのが現状です。

 そんな中、2017年11月に放送されたバラエティー番組『衝撃のアノ人に会ってみた』(日本テレビ系)で、私は女性とお付き合いしていることを初めてメディアの前でお話しました。要はレズビアンであることをカミングアウトしたのです。

 取材で来た番組ディレクターに「彼氏か旦那さんはいますか?」と聞かれたので、「彼女がいます」と答えたんです。最初はびっくりされましたが、その後に「ぜひ使わせて欲しい」と言われて、放送することになりました。

 ちょうど、そのテレビ番組のお話をいただく少し前、私が所属しているジム「SPICE UP FITNESS」の代表と、セクシュアルマイノリティーとしてもっと表に出ていけたら、誰かを勇気づけたり、誰かの考えや行動に変化が生まれたり、そういうきっかけをつくることができるんじゃないかって話していたんです。だから、テレビ出演のお話はタイミングが良かったですね。

インタビューに応じる滝沢ななえ=2017年12月12日、東京都(瀧誠四郎撮影)
インタビューに応じる滝沢ななえ氏(瀧誠四郎撮影)
 ここから少し自分自身の話をしようと思います。自分の恋愛対象が女性だと初めて自覚したのは、バレーボールチーム「上尾メディックス」に所属していた22歳のころでした。それまで男性とお付き合いしたこともありましたが、友達と「恋バナ」をしていると、なんとなく違和感がありました。

 というのも、女の子って恋をすると恋愛モードになるというか、すごく乙女になるじゃないですか。その感覚が私にはなかったんです。付き合っている男性のことは人として尊敬していたので一緒にいることはできるのですが、どうしても「友達」のような感覚で、なんでこんなに違うんだろうと思っていました。

 そんな時、女優の上野樹里さんが性同一性障害の人を演じた『ラストフレンズ』(フジテレビ系列)というドラマを偶然みたんです。私は自分が女性であることに違和感は全くなかったのですが、ちょっと男っぽい部分もあるので、「あー、私も女性とお付き合いした方が心惹かれるのかな?」と、ふと思ったんです。そして実際に女性と付き合ってみたら、「ああ、みんなが恋バナをしていたときの恋愛モードってこういう感じか!」と初めて理解できたんです。