2018年03月16日 12:28 公開

米財務省は15日、2016年大統領選への介入とサイバー攻撃に関与したとして、ロシアの5団体と19人を対象に経済制裁を科すと発表した。

制裁対象のうち13人と3団体については、司法省のロバート・ムラー特別検察官が先月、米大統領への不正介入で起訴している。

スティーブン・ムニューシン財務長官は、ロシアが「破壊的なサイバー攻撃や、基幹インフラを標的とした侵入」を行ったと非難した。同長官は制裁措置が、ロシアの「今も続く非道な攻撃」も対象にしていると述べた。

トランプ政権として、ロシア政府に対するこれまでで最も強硬な措置になると、米政府は説明。一方のロシア政府は、対抗措置の検討を開始した。

制裁対象

制裁対象には、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)や、米大統領選でインターネット上に偽情報を流布させるなどしたとされる、サンクトペテルブルクを拠点とする「インターネット・リサーチ・エージェンシー」(IRA)が含まれる。

さらに、同社を運営していたとされ、「プーチンのシェフ」とも呼ばれるエフゲニー・プリゴジン氏や、同社社員12人が対象になっている。

司法省は先月の訴状で、同社が「2016年米大統領選を含め、米政治体制に不和を植え付けるという戦略的目的」を抱えて行動していたと断定した。

このほか、ロシア連邦保安庁(FSB)と職員6人も、サイバー攻撃に関与したとして今回の制裁対象になった。

ムニューシン長官は、ロシアの「高官やオリガーキー(新興財閥)に、不安定化を狙った行為の責任を取らせる」ため、今後も制裁を追加すると語った。

同長官は制裁を科す時期については明らかにしなかったが、対象者・団体は米国の金融システムを利用できなくなると述べた。

制裁の理由

財務省は15日の発表文で、「IRAはネット上に、合法的な米国民を装った膨大な数の偽のユーザーを作り出して、それらを運営し、ソーシャルメディアで草の根団体や利益団体、州の政党に浸透した」と述べた。

「これらの活動によって、IRAはネット上に何百万もの人々が見ることになった何千もの広告を出した」

制裁対象の個人・団体は、米国内の資産が凍結され、米国民は制裁対象者・団体との取引が禁じられる。

米政府はさらに、ロシアが米国の電力システムに侵入し、情報を盗み出そうとしていると非難した。政府によると、ロシアは米国の電力網や産業インフラを運営するコンピューターシステムに侵入し、「ネットワーク情報収集」をしたという。

ロシアの反応

ロシアのインタファクス通信によると、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、新たな制裁に対してロシア政府は冷静だと語った。リャブコフ次官は、ロシア政府は対抗措置の検討をすでに始めていると述べたという。

一方、ロシアのメディアによると、プリゴジン氏は米国と取引上のつながりは全くないとして、制裁を懸念していないと語ったという。

RIA通信は、プリゴジン氏が「これまでに3、4回制裁を受けている。数えるのもおっくうで覚えていない。米国あるいは米国人と取引は全くしていない。これ(制裁)は気がかりじゃない。これからはマクドナルドに行くのをやめるくらいだ」と述べたと報じた。

(英語記事 US punishes 19 Russians over vote meddling and cyber-attacks