鈴木朋子(ITジャーナリスト)

 「#韓国人になりたい」――若い女性に人気のSNS「インスタグラム」で、こんなキーワードが流行していることをご存じだろうか。「#○○」という風に、「#(半角シャープ)」に続いてキーワードを付ける「ハッシュタグ」は、SNSでキーワード検索をする際に使用できる機能なのだが、執筆時点で「#韓国人になりたい」を付けた投稿は9951件にも上る。一方で、「#アメリカ人になりたい」は256件、「#フランス人になりたい」は158件だ。

 この違いは何なのか。彼女たちは本当に韓国人になりたいのか。

 政治的な側面から見れば、慰安婦問題や竹島問題などを抱える日韓関係は冷え込んだままだ。その韓国に国籍を移したいのか、あるいは韓国に移住したいのかと疑問を感じる人もいるだろう。

 しかし、彼女たちがイメージする韓国は、大人のそれとはまったく異なるのだ。

 振り返れば、大ヒットした韓国ドラマ『冬のソナタ』に代表される第1次韓流ブーム、少女時代や東方神起などK-POPアイドルによる第2次韓流ブームがあった。ドラマ、ミュージックと韓流ブームには中心となるカルチャーがあるのだが、現在は韓国のファッションを基点とした韓流ブームが巻き起こっている。
韓国女性9人組、少女時代=2012年11月13日、東京・代々木第一体育館( 栗原智恵子撮影)
韓国女性9人組、少女時代=2012年11月13日、東京・代々木第一体育館( 栗原智恵子撮影)
 10代を中心とした若い女性たちにはやっているのは、「オルチャンメイク」だ。「オルグル(=顔)」に「チャン(=最高)」を組み合わせた「オルチャン」がしているメークという意味で、数年前から高い支持を得ている。オルチャンメイクの特徴は、平行した太めの眉、垂れ目風に仕上げたアイライン、涙袋の強調、赤い口紅、陶器のように真っ白な肌だ。さらにシースルーバングと呼ばれる、おでこが少し見える薄めの前髪で、韓国語で「タンバルモリ」というショートヘアやおかっぱ頭との組み合わせが多い。

 オルチャンメイクの方法を指南したYouTube(ユーチューブ)動画は多数アップロードされており、ある女子高生は毎日チェックしているという。韓国コスメも「安くて質がいい」と人気が高い。

 服装に関しても同様で、自身のファッションコーディネートを投稿する「WEAR」というアプリ内では、「韓国ファッション」をキーワードにしたコーディネートが3万件以上存在する。韓国ファッションはK-POPのアイドルがしていそうな、体の線が出るミニスカートやパンツスタイルが多く、若い男性の投稿も多い。

 さらに、先ほど「K-POPは第2次韓流ブーム」と書いたが、現在もK-POPアイドルの人気は高まっている。昨年、NHK紅白歌合戦に出演した「TWICE」をご存じだろうか。韓国で結成された9人組の女性グループで、メンバーには韓国人のほかに日本人と中国人が含まれている。彼女たちは小学生女子や中学生男子にも人気があり、彼らのSNSにはTWICEのポーズである「TTポーズ(手をアルファベットのTにして泣き顔にする)」や指を重ねる小さなハートポーズを撮った自撮りが並ぶ。