疑問7 「遺伝子解析」は妥当だったのか?


 昨年の「捏造」疑惑報道のなかでたびたび」登場した言葉の一つは、「遺伝子解析」であった。そして若山教授の側から、「STAP細胞とされた細胞は、若山研究室から小保方さんに渡したマウスとは遺伝子が異なる」という指摘がなされた時には、私自身、「もしかすると、小保方さんは本当に捏造をしたのか?」と疑ったことを告白する。

 ところが昨年7月上旬、小保方さんが『Nature』論文の撤回に同意した直後の報道に私は驚かされた。その「遺伝子解析」は「間違いだったかもしれない」と、若山教授の側が前言を撤回したからである。

 小保方さんが論文撤回に同意したら、「偽造の証拠」(?)として持ちだされた「遺伝子解析」は「間違いだったかもしれない」と話が変わったのである。一体、この「遺伝子解析」は何だったのだろうか?

 これだけではない。「STAP細胞には、ES細胞に多くみられるトリソミーが見られる」という指摘も、いつの間にか曖昧にされている。このように、小保方さんが捏造をしたと主張する側の主張は、特に「遺伝子解析」を巡ってくるくる変わっているのである。

 このように主張が二転三転したことをまずかったと思ったのだろうか。12月26日の理研の発表では、もう少し踏み込んだ「遺伝子解析」が発表された。要約すると、STAP細胞とされた細胞は、細胞の遺伝子であるDNAを比較、検討した結果、保存されていたES細胞とDNAが酷似しており、ES細胞そのものであろうと判断される、という「解析」である。

 一見、決定的な証拠のように思う人もいるだろう。しかし、この「遺伝子解析」には落とし穴がある。そのSTAP細胞とされた細胞も、保存されていたES細胞も、元をただせばともにマウスから得られた細胞である。その元のマウスが血統上、極めて近いマウスであったとしたら、DNAが似ているのは当たり前である。この点について、12月26日の理研の発表は十分な説明を加えていない。

 したがって、「遺伝子解析でSTAP細胞はES細胞であることが判明した」とは言えないのである。この点について、理研はどう説明するのだろうか? 

疑問8 検証実験は本当に失敗したのか? 


 8番目の疑問は、今回の検証実験が本当に全面的な失敗だったのか?という疑問である。

 新聞やテレビの報道だけに接していると、一般の人々は今回の検証実験は失敗だった、と思って疑わないだろう。

 しかし今回の理研の発表によれば、たしかにキメラの作製には成功しなかったが、小保方さんがスクリーンの前で指さして見せたあの緑色に発光した細胞(Oct4─GFP陽性細胞)自体は、45回試みたうち40回、作製に成功しているというのである。

 その先のキメラ形成に成功しなければ、当初、小保方さんらが『Nature』で発表した実験結果の完全な再現にはならないことはいうまでもない。だが、『Nature』の論文で小保方さんが担当したのは、基本的にはマウスから得た細胞を酸処理したところ、Oct4─GFPが活性化し、緑色に光る細胞が見られたという実験の前半部分である。その後のキメラ形成は、若山教授らが分担した実験である。

 つまり、小保方さんは自分が担当した部分については、45回中40回、再現することに成功しているのである。それにもかかわらず、彼女が『Nature』で発表した実験結果が何一つ再現できなかったようなイメージが形成されているのは、あまりにも公平を欠いていないだろうか?