疑問9 TCR再構成に関するゲルの加工は小保方さんの意向だったのか? 


 私は、小保方さんとその共著者らに、何も批判されるべき点がないと言っているわけではない。すでに昨年の月刊『WiLL』6月号でも批判しているが、リンパ球の遺伝子(DNA)とSTAP細胞とされる細胞の遺伝子(DNA)を比較するために行った電気泳動の画像処理は強く批判されて当然の加工であり、この点に限って言えば「不正」と言われても仕方がない。

 この電気泳動の結果は、STAP細胞とされた細胞が、一旦成熟したリンパ球に分化の逆行を起こさせたことを示す証拠として『Nature』の論文に掲載されたものであったが、その重要な個所でゲルの加工があったことは、最大級の批判を受けても仕方がない。

 しかしこのゲルの加工は一体、誰の意向で行われたものだったのだろうか?

 また、このリンパ球の遺伝子とSTAP細胞とされる細胞の遺伝子を比較したこの部分(TCR再構成という現象の有無を確認した作業)にこうした加工があった以上、STAP細胞とされた細胞が、リンパ球を初期化(逆分化)させた細胞である証拠はないことになる。それは指摘、批判されているとおりであり、私もその指摘に異論はない。

 しかしそれでも、たとえリンパ球由来である証拠はなかったとしても、小保方さんがマウスの脾臓から得た細胞のなかに、何らかの新しい万能細胞(多機能性幹細胞)が存在した可能性は依然残る。

 TCR再構成を巡る小保方さんらの失態をもってSTAP細胞が存在する可能性そのものを全否定することは正しくない、と私は考える。