成功体験を振りかざす高齢者や、「安かろう悪かろう」の高齢者は、「現役世代の評判が悪いから、すぐに淘汰(とうた)されるのでは?」と思うかもしれない。しかし、意外とそうでもない。日本では、コンサルタント・社外取締役・研修講師の起用を決定する経営者や幹部社員の多くが高齢であり、自分も近い将来そういう立場になりたいと考えているから、彼らに対してとてもフレンドリーだ。特に、社外取締役は、東証が社外取締役の導入を上場企業に事実上義務付けたことを契機に、高齢の経営者同士がお互いにポストを融通し合う「老人互助会」というべき状況になりつつある。

 はっきり言って、タイプAもタイプBも好ましくない。ならば、高齢者はどう働くべきか。

 まず、高齢者が「働かない」という選択肢をもっと尊重するべきである。最近、国を挙げて高齢者が働くことを勧めているが、現役時代にしっかり働き、経済的な余裕を確保し、ゆっくり老後を楽しむというのは、王侯貴族か先進国の成功者にしか許されない恵まれた生き方だ。戦後日本経済の成功の証しと言って良い。「高齢者でも働くことができる」という反論の余地のない主張が「高齢者も働かなくてはならない」に転化してしまうことがないよう、注意したいものである。

 もし高齢者が働くなら、第三の働き方としてタイプCを提唱したい。

<タイプC>

高スキルで、イノベーションを生み出すことを目的に、知識労働やマネジメントに従事する。

 タイプCは、高スキルという点はタイプBと同じだが、社会参加を目的とするのではなく、イノベーションの創造を目指して働くというのが特徴だ。イノベーションとは、新商品・新技術・新事業など、何らかの新規性のある事柄を指す。

イタリア人指揮者と語り合うクオンタムリープの出井伸之代表取締役(右)
=2017年5月、東京都港区のイタリア大使公邸
イタリア人指揮者と語り合うクオンタムリープの出井伸之代表取締役(右) =2017年5月、東京都港区のイタリア大使公邸
 ブックオフの創業者、坂本孝氏は引退後70歳を超えてレストラン事業を始め、「俺の」をヒットさせた。ソニーの社長・会長だった出井伸之氏は、引退後はソニーを離れてクオンタムリープを創業し、イノベーションの創造に尽力している。二人は、社会貢献とは言わず、真剣勝負でビジネスに取り組んでいる。真剣勝負の中からイノベーションを生み出し、世の中に新しい価値をもたらし、結果として社会に貢献しているわけだ。

 マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中で、プロテスタントが禁欲的に労働に励み、利潤追求を目指したことが、結果として資本主義を生み出したことを明らかにした。自分の仕事が社会貢献になるかどうかは、結果として分かること、社会が判断することである。高齢者活躍が本当に社会にとって良いことなのか、高齢者の社会貢献とは何なのか、改めて考えるべきだろう。