事の発端は、昨年2月9日に朝日新聞が「学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か」と報じたことにある。この記事に関して、国会では、2月15日の衆院財政金融委員会で質問があった。共産党の宮本岳志議員の質問を受けた佐川氏は上手に答弁できていなかった。特に、森友学園の売却土地と、隣接した豊中市への売却土地を比較した説明はかなり危うかった。初めての国会答弁はその後の答弁のベースになるので、佐川氏はここでミスしたと思ったことだろう。なお、この財政金融委に安倍首相は出席していない。

 佐川氏はその後、2月17日の衆院予算委でも、当時民進党の福島伸享議員から追及を受けているが、その答弁も冴えなかった。佐川氏との質疑の最後に、昭恵夫人が名誉校長をしているという安倍首相への質問が出て、「私や妻が(学校設置認可や国有地払い下げに)関係していたとすれば、間違いなく首相も国会議員も辞める」という発言につながっている。

 安倍首相は、佐川氏の答弁の後にこの発言を行ったのである。むしろ、安倍首相は、頼りない佐川氏の答弁を聞き、強気に出たような印象さえ受ける。つまり、佐川氏の国会答弁は、安倍首相の「関与していれば辞める」発言の前からほころびが出ていたのである。

 さらに、3年前にも、近畿財務局で決裁文書が書き換えられたことがある。そうした決裁文書の書き換えの常態化がまずあって、佐川氏の答弁ミスも加わり、森友決裁文書の書き換えにつながったという見方が自然である。むしろ、書き換え前の決裁文書をみると、多方面からの政治関与を近畿財務局で排除してきたことが書かれている。この記述は、安倍政権潰しをもくろみ、政局化したい人たちにとっては不都合であろう。

2017年11月、東京・銀座のミキモト本店を
訪問した安倍昭恵首相夫人(代表撮影)
 さらに、一部野党からは、問題の決裁文書で「本件の特殊性」という文言を指摘している。それを一部野党は「安倍昭恵さんがいた特殊性」と捉えているがそうではなく、筆者の見るところ三つの特殊性がある。一つは、土地を売り切るのが通常だけれども、当初は貸し付けにしようとしていた特殊性だ。二つ目は、端的には地中にゴミが埋まっていたいわく付きの土地という特殊性である。三つ目が契約相手方である籠池氏という特殊性が考えられる。交渉に当たった担当者は大変だったと思う。そうしたことが、あの決裁文書からにじみ出ていると、筆者はみている。

 なお、昭恵夫人の国会招致を一部野党が求めているが、そもそも籠池氏が勝手に昭恵夫人について話していただけであり、昭恵氏が近畿財務局に働きかけをしていたわけではない。しかも、決裁文書の書き換えには何も関係もない。関係のない人を国会招致するのは、国権の乱用ともいえる。

 いずれにしても、この問題はあくまで財務省内の問題なのだから、財務省解体、消費増税中止でさっさとけりを付けるべきなのだ。政局にかまけている余裕は今の日本ではない。