12年12月には、ドラフト2位で翔凜高校から入団した投手・相内誠が、無免許運転とスピード違反で千葉県警に摘発されている。このときは入団が一時凍結され、翌13年3月に西武がようやく契約に踏み切ったところ、その年の暮れに未成年にもかかわらず飲酒・喫煙していたことが、球団公式ホームページへのファンの書き込みによって発覚。6カ月間の外出禁止、試合出場停止、ユニフォーム着用禁止処分が科された。

道交法違反容疑で摘発されたことについて謝罪する相内誠投手=2013年3月10日午前、埼玉所沢市(瀧誠四郎撮影)
道交法違反容疑で摘発されたことについて
謝罪する相内誠投手=2013年3月10日、
埼玉所沢市(瀧誠四郎撮影)
 西武がかくもコンプライアンスに厳しく、かつ神経質になっている背景には、親会社の西武ホールディングス(HD)が14年4月、9年4カ月ぶりに果たした東証1部への再上場がある。

 同社の前身・西武鉄道は04年12月、有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止となった。親会社にそういう過去がある以上、関連会社・ライオンズの選手の不祥事も、相撲協会のように隠蔽し、「内々で済ませる」わけにはいかない。春日野部屋での14年の暴行事件のように、あとで警察沙汰になっていたことが明るみに出たら、親会社にとっても大打撃となるからだ。実際、西武が未成年選手の不祥事を明らかにし始めたのは、再上場の動きが本格化してきた時期と重なっている。

 親会社が西武鉄道だった時代は、隠蔽体質と批判されるような事件も起こした。00年9月、免停中の松坂大輔(現中日)が柴田倫世(現夫人)の自宅マンション前にセルシオを停めて駐車違反に問われた。このとき、当時広報課長だった黒岩彰(現富士急行スケート部監督)が身代わり出頭したところ、すぐに露見してしまい、黒岩課長が犯人隠避、松坂が道交法違反で書類送検されたのだ。

 ここまで情報化が進み、コンプライアンス第一となった世の中に、もはや「内々で済む話」などない。相撲協会が西武球団をはじめとするプロ野球に学ぶべきことは多い。この際、再発防止委員会に、球界のコンプライアンス担当を招聘してはどうだろうか。

あかさか・えいいち 1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒。日刊現代・スポーツ編集部記者を経て2006年独立。毎週金曜朝8時、TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!日本全国8時です」にレギュラー出演中。『すごい!広島カープ 蘇る赤ヘル』(PHP文庫、『広島カープ論』増補改訂版)が重版出来で2万部突破。ノンフィクション『失われた甲子園――記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)が第15回新潮ドキュメント賞にノミネートされた。ほかに『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)、『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)、『プロ野球コンバート論』(PHP研究所)など。