貴乃花親方は貴公俊の暴力問題が発覚して、素直に謝罪し、これまでの姿勢を改めた。ある相撲リポーターは「やっとツキモノが取れた」と表現した。相撲界の改革を求め、確信を持って問いかけ続けてきた貴乃花親方に対して、あまりに失礼な言葉である。貴乃花親方の訴え方に一考の余地はあっても、一貫して主張した内容は理に適っている。むしろ、日本相撲協会が猛省し、改めるべきことが山ほどある。だが、協会は数の力でこれを退け、自分たちこそ正論、正道との態度を変えていない。そんな愚かな現実が放置され、何か発展はあるのだろうか。

 「一兵卒としてやり直す」とまで語り、先の記者会見でも「頑(かたく)なな姿勢を取ってしまった」と貴乃花親方は反省の言葉を繰り返した。貴乃花が態度を改めたことで、一連の騒動は結末を迎えた格好だが、相撲協会は「完全勝利」をアピールする一方、貴乃花の「独り相撲だった」というシナリオで幕を閉じるつもりだろう。

 だが、この問題は決して終わってなどいない。貴乃花親方一人の問題ではなく、間違いなく協会全体の問題である。貴乃花という「仮想敵」がいなくなった今こそ、相撲協会の根本的な体質が問われるべき段階に入ったと言える。
2018年3月26日、日本相撲協会の理事長に3選され、記者会見する八角理事長
2018年3月26日、日本相撲協会の理事長に3選され、記者会見する八角理事長
 幸い、3月28日の年寄会では、「貴乃花親方の契約解除を求める決議」までは出なかった。安堵(あんど)するというより、そんな理に合わない怒りをあらわにする次元が悲しすぎる。「大相撲を発展させたい」「角界を変えたい」と声を上げた人間を、たとえ「意見が合わない」「その改革が実施されると自分の権益が失われる」といった不利益があったにせよ、寄ってたかって攻撃する構図は、旧態依然とした相撲協会の「縄張り意識」が根底にあったと言えよう。

 一連の騒動を振り返って、貴乃花親方の信念が封殺される状況を歓迎してはならない、とつくづく思う。貴乃花自身の「完敗宣言」に乗じて、まるで「自分たちが正しかった」と図に乗るような輩がのさばる世の中に未来などない。