貴乃花部屋に所属する貴公俊(十両14)による“付け人殴打”が起きた春場所中日の3月18日、相撲協会は「峰崎部屋で暴力問題が起きていた」と発表した。本誌・週刊ポストが突き止めた真相は、改めて角界の闇の深さを浮き彫りにするものだった──。
峰崎親方(元前頭・三杉磯)=2012年9月16日、両国国技館(撮影・吉澤良太)
峰崎親方(元前頭・三杉磯)=2012年9月16日、両国国技館(撮影・吉澤良太)
「何の話か、よくわかりませんね」

 記者の問いにそう答えたのは、加害者力士・Aだ。本誌はこの暴力問題の情報をいち早く掴み、1か月以上にわたって取材を続けていた。そして協会が問題を発表する前日の3月17日、Aに直撃取材を敢行。

 あなたの暴力が原因で廃業した弟弟子について聞きたい──そう問うと、Aは“全否定”したのだ。

 にもかかわらず、この取材の翌18日、協会は「昨年9月末から今年1月にかけて、峰崎部屋の力士が、弟弟子に対して4回にわたり素手で殴るなどの暴力を振るっていた」と発表したのである。暴行が原因で引退した弟弟子・Bの父親が、1月末に峰崎親方(元前頭・三杉磯)に事実関係を質す手紙を送ったことで事態が発覚し、危機管理委員会が双方に事実関係を確認した上で、2月下旬に示談が成立したという発表内容だった。

 要は“十分に調査をして、すでに解決済み”という説明だったが、協会の発表は“示談成立”とする時期から2週間以上が経過したタイミングだった。春場所に出場していた加害者力士・Aが発表後に休場したことから考えても、あらかじめ準備された発表ではなく、本誌の直撃取材を受けて慌てて対応した形跡がある。発表が貴公俊による暴行当日に重なったことでメディアの扱いは小さくなったが、問題は深刻だ。

 Aは春場所が開催される大阪が地元の三段目力士で、部屋の熱心なファンには“イケメン”として人気だった。一方、廃業に追い込まれた被害者の元力士・Bは、引退当時の番付が三段目。入門4年目でAより1つ年下になる。峰崎部屋の関係者が明かす。

「AはBに対し、“付け人としての仕事がなってない”などと言っては、平手打ちを浴びせたり、蹴り倒した後に馬乗りになって顔を拳で殴ったりしていた。元日馬富士の暴行事件が発覚した昨年11月以降も複数回、暴行があった。Bは初場所の直前に部屋から姿を消していますが、“仕事ができない”とAに咎められて掌底を食らったのが引き金になったといいます」

 その後、郷里に戻ったBが父親に経緯を明かし、発覚に至る。

「Aは親方らによる聞き取りに対して暴行の事実を認め、Bは危機管理委員会による聴取で復帰の可能性があるようなニュアンスの説明を受けたといいますが、結果的には、“前例がない”ということで認められなかった。Bとしては、現役を続けていた時は、親方や後援会、両親らに状況を話すと、報復でイジメが酷くなるのを恐れて相談できなかったのではないか。幕下以下の力士は大部屋で一緒に生活していて逃げ場もないから、一人で悩んでしまったのだろう」(同前)