こうした年齢層の偏りは、高齢化に伴って発生しているものだが、困ったことに、この状況は一時的なものではない。今後、日本は本格的な人口減少時代を迎えるが、今後、20~30年にわたって中核労働者の減少が続くと予想されている。このまま何もしなければ、同じような状況が長期にわたって継続することになるだろう。

 では、こうした事態に対して社会はどのように対応すればよいのだろうか。これは需給のアンバランスが原因なので、問題を根本的に解決するには、需要を減らすか、供給を増やすしかない。

 まず需要の面では、年度末に集中する人事異動を分散化させる必要がある。

 諸外国でもカレンダーイヤーに合わせて人が動くという部分は大きいが、日本よりも四半期決算が重視されており、事業転換が必ずしも年度単位とは限らない。四半期ごとの事業見直しがもっと一般的になれば、経営もスピーディになり、引っ越しの分散化も実現できる。

 もうひとつは採用の分散化である。大学の卒業時期を分散化させる取り組みは以前から行われてきたが、企業の4月一斉入社がなくならない限り、大学や学生にできることは限られている。一定期間内ならいつ入社してもよいという柔軟な採用条件を示す企業も増えているが、まだまだ少数派だろう。

 この二つの話は相互に関係している。事業サイクルの見直しが進めば、採用も柔軟になってくるはずであり、結果として異動の時期も分散化することが可能だ。

 一方、供給面における改革をすぐに実施するのは難しい。長期的には自動運転化といった解決策があり得るが、実施までにはかなりの時間がかかる。

 短期間で実現可能な方策としては、引っ越しをしたい個人と、自営業のトラック・ドライバーをマッチングするサービスが有力である。つまり自動車配車アプリ「ウーバー」などに代表されるシェアリング・サービスの引っ越し版である。
※写真はイメージ(iStock)
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 すでにいくつかの事業者が、アプリを使ったマッチング・サービスを開始している。場合によっては、企業の人事部が各種サービスを調査し、社員に利用を促していくといった措置も必要となるだろう。

 引っ越し難民の問題は人口減少を背景としており、この業界だけにとどまる話ではない。いずれ他の業界でも同じようなトラブルが発生する可能性が高い。

 供給不足でサービスの実施が阻害されるような状況が続くと、経済成長にもマイナスの影響が出る。人手不足によって業務に支障が出るリスクについて、社会全体としてもっと認識を共有していく必要があるだろう。