多賀一晃(生活家電.com主宰)

 「空の産業革命」という仰々しいうたい文句で、紹介されたドローン。だが、本格ビジネスはまだまだと言ったところ。そんな中、ドローン用途の中で最大のビジネス規模と目される「流通用途」に、東京電力とゼンリンが「『ドローン・ハイウェイ構想』に基づく提携発表」で名乗りを上げた。そんなドローンの現状をレポートする。

 ドローンハイウェイ構想を出したのは、Amazon。2015年に飛行機、ヘリコプターが飛ぶことが認められていない低空域を区分けした提案をしたことにはじまる。200フィート(約61m)以下を、空撮、測量など、現在すでに実用化されているドローンで使い、200〜400フィート(約122m)を流通用のドローンが使うとしたもの。このドローンの速度を60ノット(時速111km)としたために、ハイウェイと呼称されている。同じハイウェイでも、トラックによる高速道路輸送とはニュアンスが異なる。

 クロネコヤマトが悲鳴を上げているAmazonの流通サービス。これを「無人」で動くドローンに肩代わりさせ、現在のサービスを維持することを考えてのことだ。流通と書いたのは、個人宅への配送だけでなく、長距離トラック輸送も考慮してのことである。

 今回の、ゼンリンと東電の「ドローン・ハイウェイ構想」のために業務提携の発表を聞いた瞬間、「上手い着眼点だ」と思った。ドローンの利点、欠点は多々あるが、一番の欠点は、「墜落の可能性」があることだ。となると、空を自由に飛ぶのではなく、空の道を作った方がいい。自由度は制限されるが、その分、安全も高くなる。その空の道が「ドローン・ハイウェイ」だ。「ドローン・ハイウェイ」が満たすべき要素は幾つもあるが、大きくは3つだ。

 ①全国にネットワーク化されること。
 ➁ドローン・ハイウェイの下は空き地が多く、できる限り人の出入りが少なく入り込めないようなところ。
 ③そして、万が一墜落した場合、回収が容易であること。バッテリーチャージ、もしくは雨、強風時の避難ができる様なスペース、施設が適度な間隔であることだ。高速道路で言うと、基本200m間隔で非常電話と共に設置さている非常駐車路側避難帯、もしくはパーキングエリア(基本15km毎の設置)、サービスエリア(基本50km毎)に似たモノと思えばいい。ちなみに鉄塔の間隔は、600m以下が基本だ。

 全国的に張り巡らした送電線を、このドローン・ハイウェイに活かそうというのが今回のゼンリンと東電の考えだ。最終的に、どのようになるのかは不明だが、今回の提携での話は大枠は高圧電線。街中の電信柱&配電線ではなく、鉄塔&送電線である。東京で言うと区部のような密集住宅地ではなく、郊外の町を考えてもらった方がいい。

 送電線、鉄塔の下は、立ち入り禁止になっている場合が多く、ドローンにとっては、絶好のエスケープゾーンと言える。鉄塔の間はそれなりにあるが、航空機と同じように、トラブル=即墜落と言うわけではなし、墜落しか手がない場合でも、操縦者は軟着陸するように、あらゆる手段を講じるはずだ。そう考えると、飛行場よりはるかに数が多い上、航路の真下の鉄塔の存在が、どれ程有利かは、ご理解頂けると思う。
(iStock)
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 要するに、送電線に沿いドローンを飛ばすと、万が一下に落ちた場合でも被害は最小限に抑えられるはずだというのが、今回の構想だ。また鉄塔以外に、送電線ネットワークには変電所がある。ここが高速でいうパーキングエリア、つまり中継基地にと考えられている。整備、電気の補給などに使える。そして鉄塔の下などのスペースは非常駐車帯というわけで緊急避難場所にすることも可能だ。

 さらに付け加えると、送電線に沿うということは、ハッキリとした目標物があるため、非常に操縦しやすい。これは人間が操縦する場合でも、AIの自動操縦、いずれの場合でも有利に進む。そう考えると、細部、市街地の対応は未定未完ながら、ドローン・ハイウェイとしてはかなりリーズナブルなイメージとなる。

 東電では、この構想の後、都市部の配電線でドローンで使うことを考えているという。やはり都市部での墜落は、緑地での墜落よりはるかにこわい。が、逆に都市部はビルが多いことも事実。使われていないビルの屋上、コンビニの屋根を使うなど、平屋根とのコンビネーションで対応できる気もする。またエスケープゾーンだけでなく、ドローンの機体もなるべく軽くし、重い荷物ではなく荷物を小分けにするなど、墜ちにくいルールを作ることも必要である。課題が多く送電線での成功を受けた形で行われると思われる。

 東電が設備なら、ゼンリンは空路等の空の3Dマップ航路地図を作るのが役目だ。どこをどう飛行すると最もいいのかを3Dマップ化するのだ。ただ3Dマップは、座標の組み合わせはもとより、鉄塔等の電力インフラ情報で書かれており、現在のような地図帳という形ではなく、座標データーとしての供給になるという。

 天候の変化は仕方がないとしても、地形的な特長のために発生する風の癖風や降雨などの気象情報は極力盛り込みたいという。書くと簡単そうだが、軽いドローンへの風の影響は大きいため、ゼンリンは、人間でいうと「経験と予想」といった、非常に重要な役割を担当することになる。