カジノの合法化を進める「統合型リゾート(IR)整備推進法案」が、昨年末衆議院で可決。いよいよ、カジノ解禁に現実味が帯びてきた。しかし、そこにはいろいろな課題が残されている。たとえば治安の問題もそのひとつ。

 2011年10月までに全都道府県で施行された、暴力団排除条例に基づき、官民一体となった暴排活動が進められた結果、暴力団の資金源は逼迫しつつある。このような暴力団がカジノへの関与に強い意欲を持つことは容易に考えられる。多重債務を重ねるパチンコ依存者を見てきた弁護士の新里宏二さんはこう話す。

「暴力団が直接関与しなくても、その周辺の人が、ヤミ金融などを運営し資金獲得に出るケースも考えられます。資金の調達もますます巧妙になっていくかもしれません」

 一方で巨額の金が動くカジノとマネー・ロンダリング(資金洗浄)は切り離して語れない。マネー・ロンダリングは、マフィアはもとより国際テロ組織などによって世界をまたにかけて行われており、そのまま使用すれば「足」の付いてしまう非合法な手段によって入手した資金を、「表の世界」でも使用できる「きれいな」資金へと転換して行くことを指す。

 日本が加盟しているマネー・ロンダリング対策の政府間会合FATFでは、カジノ事業者はマネー・ロンダリングに利用される恐れが高い非金融業者に指定されている。

 麻薬取引や脱税などで得た汚れたお金をカジノを通してきれいなお金にするというケースも見られる。
(iStock)
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「カジノ業者に疑わしい取引の届け出を求めても完全にマネー・ロンダリングを封じ込めることはできないでしょう。つまり、マフィアやテロ組織のメンバーが日本にやって来る場所を作ることになる」(新里さん)

子供は賭博に対する抵抗感がないまま成長する

 今回のIR方式では、カジノのほかに、ホテルやショッピングモールを併設してリゾートを形成していくという。お父さんはカジノ、お母さんはショッピング、子供たちはアミューズメントパークへと、家族そろってのレジャーを提唱している。そして夜はみんなで食事──。「これ、おかしいですよね?」と声を荒らげるのは新里さん。

「せっかくの家族でのお休みなのに一緒に遊ばないんですか? 夕飯でいったいどんな話をするんでしょう?“今日、お父さん、羽振りがいいね!”“カジノで勝っちゃって”“え、カジノってそんなにもうかるの?”“なんだ、お父さん。働くのばかばかしいね”って会話があったり、“今日、しょぼいね、お父さん”“カジノで負けちゃって…だからまたこの後、行ってくる”とか、そんな感じになったらどうするのか?

 子供は賭博に対する抵抗感が少ないまま成長していく危険性があり、勤労意欲を失うことも指摘されています。だから賭博は禁じられてきた。そういったことをきちんと議論されないまま通過したのがカジノ法案なんです」(新里さん)

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