風樹 都並さんは、アルゼンチンのぺケルマン(現コロンビア代表監督)を尊敬していらっしゃるとのことで、2007年に彼が監督をしていたメキシコのトルーカFCまで行って師弟関係を結んでいますが、それはなぜですか?

都並 日本のサッカーに合うのでは? そう思ってアルゼンチンやアルゼンチンサッカーを学んでいるメキシコに勉強に行ったところ、サッカー人生の中で非常に得るところがあったんです。規律がなければ日本人のサッカーのレベルではまだ難しい。これは日本の教育も関係していると思って、日本は先生と生徒みたいな感覚があるじゃないですか。

 ぼくは、ずっとブラジルサッカーと触れあってきて、もちろんいい点もあるけど、ヴェルディを離れてアビスパ福岡に所属したときに、パチャメさん(86年メキシコ大会、アルゼンチン優勝時のヘッドコーチ)というアルゼンチン監督の下でプレイしました。この方のサッカーがやけに守備にうるさくて、規律がある。細かく緻密で戦術などを言語化しているんです。でも南米だから攻撃は自由がある。

風樹 それはサルサなどの踊りについてもいえますね。サルサクラブに行くと、日本人は南米の人よりもうまく踊っているといってもいい。でも、やっぱり学習したもので、自由がいまひとつない。意外性に乏しい。「美は乱調にあり」なのに綺麗過ぎる。南米では踊りはもちろん勉強する人もいるけど、基本こどものときから踊るわけですから。

都並 それはそのとおりですね。踊りについていえばサッカーを研究すればするほど、両者の密接な関係が見えてきます。たとえばシュートを打つときのゴールキーパーを前にしてのステップとか。日本の選手は慣れていないから、うまくいかないところがあります。

風樹 とくにカポエラ(奴隷達が練習していた格闘技。舞踏の要素も)は、ブラジルサッカーそのものですね。ゆっくりとした緩慢な動作から急に詐欺のように物凄いスピード技をしかけてくる。
サッカーブラジルW杯2014、会見に臨むホセ・ペケルマン監督=23日、クイアバ(撮影・吉澤良太)
サッカーブラジルW杯2014、会見に臨むホセ・ペケルマン監督=2014年6月、クイアバ(撮影・吉澤良太)
都並 日本は盆踊りだからなかなかむずかしいけど、でもやはり日本のリズムにあったいいものを作り上げなくてはいけないと思います。

風樹 随分昔の79年に、マラドーナが世界デビューしたワールドユース日本大会で、たまたまスペインチームの通訳をしていました。日本と対戦したときスペインは苦戦してどうにか1対0で勝ちました。スペインの選手も監督も「日本人は技術もあったし、強さもあったけど、経験とずる賢さが足りない」と言っていました。でも、ずる賢さは学べるものでしょうか?