3試合目も是非本気になって欲しかったんで、スペイン語の侮蔑言葉、一番汚いのを覚えてマラドーナに浴びせかけたんです(日本では「お前のかーちゃん出べそ」を越える隠語だがここでは書けない)。そうしたら、今のペルーの代表監督リカルド・ガレカ他3人に囲まれて、ぼくは土下座して謝ったんです。でも、そこまでして本気になってもらいたかったんです。

(一同爆笑)

風樹 マラドーナですが、「彼と話しをしたことがある」というのが南米にいるときにぼくが一番誇りにできることです。

都並 ぼくもマラドーナと戦ったときの写真をもって南米にいく。アルゼンチンなどでは、印籠ですよ。写真見せたら、泣き出すおじさんもいます。ぼくの宝ですよ。宝! 

風樹 Jリーグができてからの代表監督は、日本人は加茂 周さんと岡田武史さんだけです。なぜ日本人ではなく外国人監督なのでしょうか?

都並 ぼくの感覚からすると、指導内容、采配面とかまだまだ外国監督のほうがずっと上です。間違いなくです。ただ、日本人の特性、日本人のことは日本人が一番わかるわけですから、もうそろそろ日本人の監督に変わる時期が近付いているのではないかとは思います。
2010年7月、南アフリカW杯で指示を出すアルゼンチンのマラドーナ監督(財満朝則撮影)
2010年7月、南アフリカW杯で指示を出すアルゼンチンのマラドーナ監督(財満朝則撮影)
風樹 日本を撃破したコロンビアは、ぺケルマンの元で華麗なサッカーから別のサッカーになって強くなった。でも、同じスペイン語で選手は直接会話できます。通訳は忖度したり、喧嘩になるようなことは訳さなかったりすることがある。都並さんも代表のときはオフト監督の元でプレイしていたわけで、通訳がはいるとコミュニケーションに難があるのでは。その点どうでしょうか?

都並 通訳の能力によるのではないでしょうか。空気を読んで、必要なことを言って、不必要なことは割愛するとか。でも、日本人のほうがまどろっこしくてわかりにくいことが多々あります。自分のサッカーを簡潔に分かりやすく伝える言葉、方法論、練習法などは世界レベルの監督さんのほうがまだまだ上です。歴史のある国はサッカーが言語化されています。

風樹 たとえばどういうところでしょうか?

都並 攻撃でいえば、ツートップの動きについても、日本語では「1人が裏にいって1人が足元でボールを受ける、それを繰り返しなさい」と言うんですが、どの場面でそれをやるのかわかりにくい。でも、鹿島のオリヴェイラ元監督は「8の字を書くように2人で動け」と言うわけです。すると分かりやすい。これが言語化なんです。

 防御にしても日本で「チャレンジ・アンド・カバーをして」と言われてもよくわからない。アルゼンチンに行ったときにびっくりしたけど、ディフェンスのブロックは、メディアルナ(=半月)の形、クロワッサンの形を作りなさいって言うんです。「おー、そういうことか、なるほど」って分かるわけです。アルゼンチンでは子供でも知っています。これが歴史の深さです。