風樹 サッカーはプロになってから25年ほどですから、先輩の野球、あるいは伝統ある相撲、柔道、空手(日本文化の神髄は一対一の対決だ!)などとは違うのかもしれませんね。

都並 今治FCのオーナーになった岡田武史さんが「岡田メッソド」というのを作っているところです。日本にはまだサッカーのメソッドがない。プレイモデルがない。だから指導がばらばらになってくる。そこが外人と日本人の違い。

友森(「WEDGE Infinity」編集長) JFAや代表に日本の目指すサッカー像ってあるんですか?

都並 いや、まだないようです。いろんな勉強をしている段階で、あるときはスペインサッカー、あるときはメキシコサッカー、あるときはフランス。技術委員が変われば全部変わってしまう。それだと、強くなれない。

風樹 野球でいえば、野村監督は1対0で勝つ試合が理想だとおっしゃっていましたが、サッカーでも守備こそが大事と思うけど、マスメディアで持て囃されるのはやっぱり点を入れた場面です。たとえば、ブラジル大会では練習試合で3対1で日本に敗れたコスタリカは、ウルグアイ、イングランド、イタリアのいる死のグループを1位抜けして、ギリシアに勝ってベスト8まで進出しています(筆者がスタジアムで見たオランダ戦で0対0延長後、PK戦で敗北)。名キーパーのケイロル・ナバス(現リアル・マドリッド)がいたからだと思いますが、日本でもこうやって点を防いだとか、そういう防御が脚光を浴びるにはどうすればいいのでしょうか?

都並 粘り強く守って楽しいというのもあるんですが、そういう守りの文化は簡単には日本では見つからない。
2009年5月、日本代表メンバーを発表する岡田武史監督(戸加里真司撮影)
2009年5月、日本代表メンバーを発表する岡田武史監督(戸加里真司撮影)
風樹 「おしん」みたいな、耐えて耐えて勝つようなのも日本にはありますが。

都並 心理的にはありますね。ぼくもそれほど歴史を知るわけではありませんけど、戦争などで何度も攻められた国は、まず守備からはいっていくというメンタリティがあるのではないでしょうか。

風樹 国民の半数が戦争で玉砕したパラグアイ(参照「憲法改正を押しとどめたパラグアイ国民の意外な方法」)がまさにそうで、フランス大会では決勝トーナメント1回戦で徹底的な守備戦術で、延長までもつれてフランスを苦しめました。でも、イタリアが引いて守れば伝統のカテナチオといわれるけど、日本やイランなどが守備的にやると弱者のサッカーなんていわれる、おかしいですよ。

都並 弱者ということはないと思います。勝つための戦法ですから。でも、今の日本がかつてのパラグアイのように引いて引いて守っても、やられるだけになってしまう可能性があります。

風樹 ワールドカップでいえば、開催地によって随分気候なども違う。ブラジルだったら暑くて、広くて各スタジアムは離れている。ロシアはさほど暑くないし、今回はヨーロッパ側にスタジアムが集中してブラジルのときほどは離れていない。次の次のカタールは冬季開催となった模様ですが、ともかく暑い(筆者はワールドカップのための電力供給プラントに一時従事)。暑いと不可能なサッカースタイルもありますね。開催地に合わせたサッカーとかってできないものでしょうか?