都並 それぞれ柔軟に対応できるのが理想だけど、現実それが足りないのが日本のサッカーです。監督がうんぬんというよりも気候や環境にあわせて、個人も組織も柔軟に対応できればいいのですが。それができるようになるには、子供のうちからの育成にすべてかかっています。たとえば人工芝のグランドだけでやっていたら、小学校の芝のグランドではうまくできないとか。

 アルゼンチンではあえてぬかるみでやる、イタリアでは泥だらけのところを走らせる、スペインでは土のグランドで練習する。わざとそういうこともやらせています。逆にぼくは古い選手だから環境が悪くてもできるということがあった。今はちょっと過保護で、それを取り戻すところなのかな。これも歴史です。

風樹 ワールドカップでは、監督や選手が注目されますが、勝負の半分は、スカウティング、キャンプ地選び、医療体制、食事などのマネージメントやロジスティックスにかかっているのではないかと思っています。日本はどういう水準ですか? 前回はキャンプ地が適切ではなかったと批判されていますが。

都並 昨今はサッカー先進国を学んでそのような面もかなり配慮しています。でも歴史のある国はもっと奥が深いですね。たとえばですが、クラブハウスにしても、アルゼンチンはイタリアのノウハウを持ってきて、トレーナールームからバスルームまで裸で歩いて行けるとか、動線もファンと混乱なくほどよく接することができるようになっているとか、やっぱりレベルが違うんです。

友森 岡田さんが新聞でおっしゃっていたけど、今治でスタジアムを中心とした街づくりをしたいと。

都並 ヨーロッパだったらお金をかけることができるし、中南米だったら、お金がなくてもうまくやるわけですよ。メキシコだったら、スタジアムの売店も観客に配慮して作ったり、ハ―フタイムに子供たちのために小運動会をやったり、そのための設備をあっという間に作ってあっという間に撤収するとか、日本では考えられないノウハウがある。ちょっとしたことで大拍手とか、お金のないクラブはとっても参考になる。その点でぼくは中南米が好きなんです。

友森 お話をうかがってわかったのは、日本サッカーに必要なのは成熟ということのようですね。
報道関係者に公開されたベースキャンプ地のピッチ=2018年3月29日、露カザン(共同)
報道関係者に公開されたベースキャンプ地のピッチ=2018年3月29日、露カザン(共同)
風樹 まだまだお聞きしたいことがありますが、時間がきてしまいました。都並さんの今後の抱負はどのようなものですか?

都並 今後もサッカー人としてこだわりをもって生きていきたいですね。サッカーの解説をするのも大好きなので、それが日本のサッカーの発展に貢献すればこんなうれしいことはありません。あとはもう一度監督をやってみたい。今下部組織の選手を見ているので、ブリオベッカがJリーグに上がったときに、もう一度、チャンスがあればいいなと思っています。

かざき・しげる 作家、国際コンサルタント。1956年、北海道生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。メキシコ留学後、中南米の専門商社を経て、南米アマゾンの奥地でODAプロジェクトの鉄道建設にかかわる。その後は、シンクタンク、研究所勤務などで、首相向けの政策提言、ODA援助、海外投資、NGOプロジェクトに従事。イスラム開発銀行のコンサルタントも経験し、30数カ国を踏査。石油関連事業でカタール、ベネズエラに駐在。