川端康生(フリーライター)

 サッカー日本代表監督のハリルホジッチの解任が、「遅きに失した」という批判は当然だろう。なんといってもワールドカップ(W杯)まで2カ月しかないのだ。常識的に考えれば、もう手遅れと言いたくなるタイミングである。

 しかも、その2カ月のうち、日本代表として活動できる時間は1カ月弱しかない。細かいことを言えば、その1カ月には直前合宿のオーストリアへの移動や、本大会のロシアへの移動も含まれるだけに、現実にはさらに短い。もちろん本番直前にはコンディション調整の期間も必要で、実戦に備えたトレーニングができる日数は限られる。

 そもそも前回のブラジル大会から4年もの準備期間があったはずだ。その3年10カ月が過ぎたところで、こんな切羽詰まった事態を招いてしまったのだから、日本サッカー協会が批判されるのは当然である。

 同様に「機を逃した」という指摘もある。前監督のアギーレが八百長疑惑で退任し、ハリルホジッチが就任したのが2015年3月。この3年の間に監督交代のチャンスは少なくとも二度、いや三度はあったのだ。

 最初は昨年8月、アジア最終予選を突破したときだ。予選突破でW杯出場をつかんだとはいえ、初戦のUAE戦での黒星から始まったその戦いぶりは手応えがなさ過ぎた。

 相手によって戦い方を変えると表現すれば順応性があるように聞こえるが、現実にはむしろ硬直的だった。ゲーム中、状況に応じてプレーを変える柔軟性はなく、単調な攻撃を繰り返すばかり。当然、面白みにも欠けていた。
サッカーのロシアW杯アジア最終予選のUAE戦で、主審に抗議する日本のハリルホジッチ監督(右)=2016年9月
サッカーのロシアW杯アジア最終予選のUAE戦で、主審に抗議する日本のハリルホジッチ監督(右)=2016年9月
 もちろん、試合にエンターテインメント性がなくても、盤石の安定感があったなら納得できる。だが、その勝ち方はいつも薄氷の上だった。あのタイミングでハリルホジッチに「お疲れさま」と引導を渡す手はあった。

 当然、サッカー協会も考えていなかったわけではないだろう。だが、6大会連続出場のお祭り騒ぎの中で、決断を下すことができないまま、楽観的続投となった。それでも、予選後に行われたニュージーランド、ハイチとの親善試合で、再び疑問は大きくなったはずだ。攻守両面において連動性が全くなく、まるで寄せ集めのチームのようなプレーぶりだったからだ。

 その後のブラジル、ベルギーとの連戦に完敗したあたりも含めて、やはり監督の首をすげ替えるチャンスだった。しかし、やはり相手が強豪国だったことが仇になり、ここでも引導を渡すことができなかった。