清義明(フリーライター/オン・ザ・コーナー代表)

 サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が解任された。ワールドカップ(W杯)ロシア大会の本番までわずか2カ月というタイミングでの監督交代は衝撃をもって、サッカーファンに受け止められている。

 本代表のチーム作りというのは長期にわたる。毎週末に試合をこなす各クラブの所属選手を集めて対外試合や合同練習をしなければならないからだ。さらに昨今では優秀な選手ばかりを招集する必要もある。

 ハリルホジッチ体制は丸3年を迎え、この体制下でW杯の予選を突破している。しかし、ハリル監督の指導については、かねてより賛否両論あった。実際に、昨年8月のアジア最終予選突破直後から「解任論」はくすぶっており、予選突破後の練習試合や昨年12月の東アジアE-1選手権をきっかけに火がついた。

 ハリル監督の戦績は21勝8敗9分だが、最終予選後の成績は3勝4敗2分と振るわなかった。特に因縁の日韓戦で1-4と惨敗したのは衝撃が大きく、さらにW杯本大会で対戦するセネガル(FIFAランキング27位)やポーランド(同6位)を想定したマリ(同69位)、ウクライナ(同35位)に立て続けに敗れたことも印象を悪くした。

 もちろん、これらは親善試合、またはほぼ同様の格付けの大会であった。もともと、ハリル監督は「チームは本戦前の3週間でつくる」と豪語してきた人だ。W杯予選以降の戦いも、代表未経験選手を試してみたり、一度試合から外した選手を入れるなど、とても「本気モード」とは言えない戦いを繰り返していた。

 このパターンで日本代表のファンが即座に思い出すのは、2010年南アフリカ大会の岡田武史監督だろう。ハリル監督と同じようにW杯予選突破を決めた後、やはり親善試合や東アジア選手権でのふがいない戦いを見せつけられ、不安が広がった。

 しかも、岡田監督のメディア対応もけんか腰だったため、メディアによるバッシングが続いた。それでも岡田氏が監督を続けられたのは「サッカー協会が監督交代の時機を逸した」というのが一番の理由だろう。過去にも本大会まで残り時間が少ない中で監督交代が行われたケースはあったが、W杯で結果が出た国は極端に少ない。

 このタイミングで監督を変えても、むしろマイナスであるとの懸念は当然だろう。また、ハリル監督自身が「大会直前まで(蓋を)開けてみなければ分からない」というチーム作りに徹していたこともあり、ファンの間では「ハリル続投やむなし」という意見が大勢だった。
サッカー南アフリカW杯2010の一次リーグデンマーク戦で阿部勇樹(右)に指示を出す岡田武史監督=2010年6月24日、ルステンブルク
サッカー南アフリカW杯2010の一次リーグデンマーク戦で阿部勇樹(右)に指示を出す岡田武史監督=2010年6月24日、ルステンブルク
 それでも、岡田監督は「解任論」で埋め尽くされたメディアの論調に背を向けてチームを立て直した。まさにハリル監督の言う「大会直前の3週間」でチームを作り上げたのである。そして自国開催以外では初のグループリーグ突破という偉業を成し遂げた。