日本人の平均寿命は今では大きく延びていますが、100年ほど前、1920年代前半の日本人の平均寿命は男性が42・1歳、女性は43・2歳で、明治、大正期の日本人の寿命は、おおむね40歳代でした。

 なぜ、こんなに平均寿命が短かったのか。

 当時の女性は、子供を10人産むことも珍しくなかったので、お産だけでも疲れ果ててしまいました。しかも、お産では出血したり、感染症にかかったり、産後の肥立ちが悪かったりと、命にかかわる危険が多くありました。お産をしたあとには、赤ちゃんに数時間ごとの授乳をし、おしめを替えたりしながら、家族の食事の用意や洗濯などの家事もするのですから、それは重労働でした。当時の一般家庭は貧しかったので、人を雇って家事をまかせることはありませんので、お母さんが1人でやらなければなりません。だから、疲れ切ってしまうのです。

 また、その頃の男性は、農業や漁業、林業などの第一次産業や、鉱業や建設業に従事して、クワやツルハシをふるうような肉体労働で身を立てている人が大多数でした。

 だから男性は、40歳を超えるくらいになると、腰を悪くしたりして、体はボロボロになり、短命で終わったのです。

 そういう事情もあって、戦前は日本人の平均寿命は50年くらいだと思われてきました。

(写真はイメージです)
 戦後、日本人の平均寿命はどんどん長くなりました。医学の進歩があり、日本人の栄養状態も良くなりましたし、第一次産業も機械化が進んだからです。

 2016年の日本人の平均寿命(厚生労働省調査)は、女性は87・14歳、男性は80・98歳で、これは、大きな国の中では共に世界第1位です。前年の調査と比較して、女性は0・15歳、男性は0・23歳延びて、いずれも過去最高となりました。

 日本人の死因で多いのはガンや心疾患、脳血管疾患ですから、もし、これらの病気で亡くなる人がいなくなれば、平均寿命は現状よりもさらに延びると推定されています。厚生労働省(厚労省)の試算では、2016年生まれの人が、ガンや心疾患、脳血管疾患で死亡する確率は女性46・5%、男性51・2%で、これらの病気による死亡がゼロになったと仮定すると、平均寿命は女性で5・74歳、男性で6・95歳延びるとしています。

 日本のお医者さんの医療技術は世界でもトップクラスですから、今後も平均寿命は延びる可能性があります。日本人の平均寿命は、90歳を超え、100歳に近づくでしょう。人生100年時代の到来です。そうなれば、50年だった人生のあとに、もう1回50年近い人生が繰り返されることになります。