私の目は強度の近眼と乱視で若い頃から苦労してきましたし、加えて57歳で左目を失い、大手術をして、今は半分は人工の目なのですが、細かい字も平気で読むことができます。日本酒をあまり大量に毎日飲んでいると、若干、目がかすんでくることがありますが、その他は大丈夫です。

 瞬発力や記憶力は、さらに磨くように積極的に努力しています。瞬発力は、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)に出演しているときに、司会の明石家さんまさんとの掛け合いに耐えられるよう、日常生活でも、返事や対応を早くして瞬発力をつけるようにしています。

 記憶力では、専門の物理や材料、原子力といったものだけではなく、歴史、国際政治、経済などを積極的に学び、書籍も書き、批判も受け、知識を増やすようにしています。

 国際政治を学ぶときには、ある国、たとえばサウジアラビアのことを本で読んだり、ネットで聞いたりして集中的に学び、ときに国際政治の専門家の方にお会いすると、どんどん質問してさらに覚えるようにしています。

 また、ビットコインのような暗号通貨(一般的に言われる仮想通貨)の場合、「わからない」と諦めずに、なんとかして親しみを持つようにいろいろな方法で勉強します。暗号通貨の仕組みである「ブロックチェーン」についてもかなり複雑なのですが、「習うより慣れろ」で何回も読んだり、聞いたりしていると親しむことができます。

 このような場合も、「老後だから」というのを捨てて、むしろ「若い頃はできなかったが今はできる」という逆転の発想でやっています。

 女性との付き合いも積極的です。第1の人生では結婚や恋愛が目的ですが、今の私の第2の人生では、仕事の付き合いで女性と大いに話をします。そうすると、私の頭も柔らかくなりますし、第2の人生になってからの異性との食事や話はとても快適なものです。
フジテレビ系番組『ホンマでっか!?TV』に出演する筆者(一番右)。前列中央は司会の明石家さんま(フジテレビ提供)
フジテレビ系番組『ホンマでっか!?TV』に出演する筆者(一番右)。前列中央は司会の明石家さんま(フジテレビ提供)
 食事ではさらに年齢を超えるようにしています。

 もともと、肉が好きだったのですが、年を取ってくるとお寿司なども好きになりました。そこで、焼き肉も食べる、寿司も食べるという食事をしています。血圧は年齢に合わせて、(年齢+90)で
コントロールしています。そうすると血の循環が良いので元気です。若いときと同じようにお酒を飲み、深夜になると(夜の)クラブ活動に出かけ、11時過ぎに帰るという生活もしています。

 お酒は産業医の研究結果に沿って、「酒と女性は2合(号)まで、休肝日2日」などという老化を促進するキャンペーンを疑い、「酒4合、休肝日なし」で暮らしています。酒ばかりではないのですが、「酒を飲むと健康に悪い」のではなく、「健康がすぐれないと酒がまずい」のだと思っています。

 幸い、油っぽいものも平気で、天ぷら、ウナギ、三枚肉、カルビなど、オールOKで、「おいしい」と思うとおいしいものです。

 総じていえば、「第2の人生では、第1の人生より激しく」ということでしょう。つまり、第1の人生でゴルフをしていたら、第2の人生は私のようにテニスとキックボクシングとか、第1の人生では物理が専門でも、第2の人生では「なんでも来い」というスタンスです。

 私は、1週間に4回、テレビ出演しています。講演は年間150回、著作は年に5冊は出版しています。もちろん、大学での教授としての研究や教育も現役です。

 私は、生まれつき病弱で、病気に苦しんできましたし、今も体は強いほうではありません。それでもこれほど若い人たち以上に元気いっぱいに活動できるのは、やはり第2の人生の準備を常にしてきたからです。そうして、私は50歳直前で転職をしました。第2の人生を過ごすために、会社員から芝浦工業大学の教授になったのです。

「老後」ではない「第2の人生」をよりよく過ごし、よりよく生きるためには、概念的にも、経済面、健康面でも、準備が必要です。

 今や人生100年に近づこうとしています。人間の歴史において、「生物として生きている意味がない」50年をどう生きるのか。そういう初めての事態に我々は直面しています。

 『科学者が解く「老人」のウソ』(産経新聞出版)では、50歳を境に始まる「第2の人生」を生きる準備、あるいはその意味、生き方について科学的に考え、少し大袈裟に言えば、人類で初めてその概念を明らかにし、さらに踏み込んで具体的に考えてみたいと思います。

たけだ・くにひこ 中部大総合工学研究所特任教授。昭和18年、東京都生まれ。日本エネルギー学会賞など受賞多数。環境問題に対して定説と異なる主張を展開して注目を集め、テレビでコメンテーターとしても活躍する。著書に『エネルギーと原発のウソをすべて話そう』(産経新聞出版)『NHKが日本をダメにした』(詩想社新書)など多数。近著に『科学者が解く 「老人」のウソ』(産経新聞出版)。