舛添要一(前東京都知事、元厚生労働大臣)

 18日夕方、財務省の福田淳一事務次官が辞任を表明した。『週刊新潮』で報じられたセクハラ疑惑について、福田氏は事実でないと否定し、裁判で黒白をつけるという。しかし、報道以来、職責を果たせるような状態ではなくなったので、これ以上の混乱を避けるために辞表を提出したと説明した。
2018年4月18日、辞任を表明し、記者の質問に対して、なぜか笑顔で答える財務省の福田淳一事務次官
2018年4月18日、辞任を表明し、記者の質問に対して、なぜか笑顔で答える財務省の福田淳一事務次官
 何となく、すっきりしない結末である。森友・加計学園問題、官僚による忖度(そんたく)や公文書改ざん、データ管理の不備など政権を揺るがす問題が続出している中で、佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官が辞任し、それに加えて、この「福田セクハラ疑惑」が出てきた。野党は、政府攻撃の道具として、この問題を最大限に活用しようとしている。

 事実がどうなのか。私は「被害者」である女性記者が正々堂々と告発すべきだと繰り返し主張してきた。実際に、米有力紙ニューヨーク・タイムズと雑誌ニューヨーカーは、ハリウッド映画界の大物プロデューサーのセクハラ疑惑を追及し、ピュリツァー賞を受賞した。

 メディアを通じてカミングアウトした勇気ある女優らの告発が発端となり、その後、セクハラ被害を訴える「#MeToo(私も)」運動が欧米を中心に盛んになった。また韓国の安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事も、女性秘書が性暴力をテレビで告発したため、職を辞している。

 ところが、女性記者の対応については、私のような主張を批判して、「被害者に酷だ」「仕事がなくなる危険性がある」などと弁護する意見ばかりがマスコミを賑(にぎ)わせている。しかし、フリーならともかく、記者なら、まずは自分の所属しているメディアを使うのが筋だろう。

 もしカミングアウトすれば、失職するどころか「英雄」としてたたえられる。所属するメディアも、告発者を「自慢の種」として大事にするから、左遷などできないだろう。