竹中平蔵(東洋大学教授)
ムーギー・キム(投資家)

18日夕、週刊新潮が報じた「セクハラ疑惑」を受け、麻生太郎財務大臣より福田淳一事務次官の辞職が発表された。このところ、不祥事が連発している財務省。書類隠ぺいに書き換え、果てはセクハラ疑惑による次官辞職まで-。世間を大いに騒がせ、「官僚体質」が大問題となった大蔵省接待汚職事件(通称ノーパンしゃぶしゃぶ事件)から早20年が経過。その間さまざまな「省庁改革」が断行されたはずだが、そこに来て今回の一連の不祥事。官僚制度の何がこのような事態を招いているのか?

竹中平蔵×ムーギー・キムの新刊『最強の生産性革命 時代遅れのルールに縛られない38の教訓』から、昨今話題の“変わらない官僚体質”の本質を抜粋。元大臣として官僚を知り尽くした竹中氏と、「グローバル・エリート」ことムーギー・キム氏が徹底解説する。

(冒頭 ムーギー・キム)寝ても覚めても財務官僚の不祥事問題で話題が持ちきりの最近だが、はたして官僚はなぜ、国民から程遠く離れた不祥事を繰り返してしまうのか?

 私には立派な尊敬する官僚の友人も複数いるので全部がそうだということはできないが、それでも「官僚的」「官僚体質」という単語の由来になるくらいだから、官僚組織には特定の行動を運命づけられる制度的問題点があるのである。

 そこで以下では、「不祥事隠ぺいでバレる!!官僚組織の本質的問題点」を『最強の生産革命 時代遅れのルールにしばられない38の教訓』から抜粋し、官僚組織との戦いと改革に取り込んでこられた竹中平蔵氏に、超わかりやすく、解説していただこう。

竹中 政治がなかなか変われない最大の理由は、政策が官僚終身雇用制度の上で作られているからだと思います。

キム どういうことですか。

竹中 官僚は政権が代わろうがどうしようが、クビになりません。公務員なので、不利益処分を受けるときはいろいろ条件がつく。公務員には団結権がないので、ストをしてはいけないことになっている。その分、しっかり守られているんですよ。

 それに、官僚は終身雇用制で、東大を何番で卒業して公務員試験に何番で受かったか、そしてどういうキャリアを積んだかがずっとついて回る。そういう人たちが、政府の政策をずっと継続させているわけです。

 だから業界団体等としては、ある時点でお上の言うことを聞いていれば、次も安心なんです。逆に逆らったりすると、その時点ではうまくいったとしても次で仕返しを食らう。「江戸の仇を長崎で討つ」という言葉がありますが、それを官僚たちはやるんです。だからお上はすごい力を持っている。その力の最大の要因が、終身雇用・年功序列なんですよ。
事実上更迭され、記者の質問に答える財務省の福田淳一事務次官=2018年4月18日
事実上更迭され、記者の質問に答える財務省の福田淳一事務次官=2018年4月18日
キム 官僚には終身雇用と年功序列が保障されているため、そういう人に一度でも逆らうと、ずっと恨まれてどこかで復讐されると。だから国民や業界団体は省庁に対して恐れを持っていて逆らえないということですか?

竹中 そうです。経団連をはじめとする業界団体は、みんなそれをわかっています。だから経団連の事務局というのは、同じく年功序列で霞が関理論に追従する官僚的組織になっているわけです。いわば「民僚」です。誰かがお上に逆らって改革をやろうとしても、だいたい裏切るのは経団連なんですよ。