林智裕(ライター)

テレビ朝日が8月の特別番組で「ビキニ事件63年目の真実~フクシマの未来予想図」という、福島について誤った印象を広めかねない番組名をつけ、多数の批判が寄せられた。農産品への風評被害など、いわれのない非難に被災地は今でも悩まされている。(前編へ)

 一方、海外から福島に対する評価は少しずつ改善してきています。7月6日には、日本とEUとの間で経済連携協定の大枠合意が発表されました。報道では貿易内容に大きく注目が集まりましたが、この合意の際には福島にとっても大きなニュースがありました。合意の宣言の中でEU側から

I would like to congratulate Prime Minister Abe on the remarkable progress Japan has made on making products from the Fukushima region safe, following the 2011 accident. I am confident and I will work into that direction that we will have after the summer break a further lifting of import measures.

 と、福島の食品への異例とも言える名指しでの言及があり、安全性を認めた上での輸入規制解除へと動き始めました。

 すでに去年6月には東京のフランス大使公邸にて、大使主催の「フランス・福島 美食の夕べ」というイベントも開催されています。

 フランス大使館のホームページでは、「この夕食会はフランスの美食の伝統と、福島県産の素晴らしい食材を調和させることで、福島県ならびに東北地方の農業と優れた産品を支援することを目的として開かれ、日本とフランスの数多くの著名人が参加して開催された』と記載されました。

 また、すでに2年以上前の2015年2月には、英国のウィリアム王子が本人の強い希望により外国の要人として震災後初めて福島県に宿泊。夕食では全て福島県産品づくしの11品目と福島の日本酒が出されました。ウィリアム王子本人はもとより、英国が福島にリスクはないとしていることをハッキリと示した事例でした。
2015年2月、東日本大震災の被災地・福島県を視察、笑顔で歓迎夕食会に臨む英国のウィリアム王子(右端)と安倍晋三首相(左端)=福島県郡山市(代表撮影)
2015年2月、東日本大震災の被災地・福島県を視察、笑顔で歓迎夕食会に臨む英国のウィリアム王子(右端)と安倍晋三首相(左端)=福島県郡山市(代表撮影)
 一方で同じ時期に日本で発売された週刊誌AERAが『放射能は300年消えず 「食品汚染の今」』とタイトルをつけていたことはあまりにも過激で疑問を感じざるを得ません。

 実際、輸出量が震災前を超えているものもあります。今年も5人組の人気グループTOKIOがPRを続けている福島の桃は、震災後に東南アジアなどを中心に高級百貨店などでの売れ行きが好調で輸出が右肩上がりになっており、昨年の総輸出予定量は30.6トンと震災前の10年(23.9トン)を上回りました。

 全国新酒鑑評会金賞受賞数5年連続日本一となった福島の日本酒もまた、輸出量が震災前のそれを上回っています。

 東日本大震災時に多額の支援をしてくださった中東のカタールでは、イベントで振る舞われた福島県産米(猪苗代町産天のつぶ)の評価が非常に高く、積極的な輸入もはじめました。

 カタールでは当初、日本からの輸入食品にはサンプリング調査と日本政府が発行する安全証明書が必要とされていました。

 しかし2016年7月には、同国の保健省(日本の厚生労働省にあたる)が、今後半年間のサンプリング調査で基準値超えの食品が発生しなければ検査と安全証明手続きを撤廃すると決定し、その後当然ながらこれをクリア。

 結果、今年の4月からは中東諸国で最も早くサンプリング検査や安全証明書が完全に不要となり、諸外国と全く変わらない条件で、福島を含む日本からの食品の輸入が障壁無く出来るようになりました。