安倍宏行(Japan In-depth編集長)

 事の顛末(てんまつ)は他の記事に詳しいだろうからそちらを参照していただく。今回は元テレビ局の記者として考えたことを記す。

 東京メトロポリタンテレビジョン(東京MXテレビ)の番組『ニュース女子』は、制作主体が化粧品大手、ディーエイチシー(DHC)傘下の「DHCテレビジョン」だ。東京MXテレビはDHCテレビジョンから納品された編集済みの映像、いわゆる「完パケ」を番組で流していた。制作に関わっていない放送局は、番組で流す映像の中身を放送前に検証できない。ただ放送するだけになってしまう。

 フジテレビの報道局に21年在籍した筆者からすれば、ニュース番組のスポンサーが自ら映像を制作し、それを番組内で放送する、というのは聞いたことがない。報道局は社内でも独立しており、営業の人間が直接報道局に接触してくることはない。

 また、報道と営業の間には編成局の担当者がいるが、それはスポンサーの意向を番組に反映させるためにいるのではない。むしろ、スポンサーの不祥事がニュースになった場合、その会社のCMを番組内で放送するのかしないかを調整したり、突発的なニュースが飛び込んで報道番組が他の番組に食い込む場合のCMの調整などをするためにいるのだ。

 報道番組である以上、スポンサーの意向を反映するなどということがあってはならない。だからこそ番組の内容の根幹をなす、映像制作をスポンサーに任せることなどありえないのである。

 そこで、東京MXテレビの有価証券報告書(第24期:平成28年4月1日~平成29年3月31日)で販売実績を見てみると、DHCが約21億円で全体の11・5%を占めている。大手スポンサーの意向がどのように番組に反映されたかは東京MXテレビのみぞ知るが、いわれなき批判を避けるためにも番組制作は自局で行い、編集権をしっかり担保しておくべきだった。
 次に、番組で流す映像のチェック体制について考えてみる。東京MXテレビ以外の地上波テレビ局、ローカル局、BS局も、すべての番組を自社制作しているわけではない。多くの場合は制作会社に外注している。しかし、それらの局の報道番組・情報番組で、映像のチェックが事前に入らないことはまずない。