確かに、『ニュース女子』は情報バラエティー番組であり、ある程度の「演出」はつきものだ。しかし、安保法制やテロ等準備罪のときに地上波テレビの報道番組が行った演出に比べて、それが著しく過剰であったとは言えない。「放送法遵守を求める視聴者の会」の調査によれば、安保法制において民放の主要ニュースの9割が反対論に占拠されていたという。これが許されて、なぜ『ニュース女子』の演出が許されないのだろうか。BPOは明らかに「ダブルスタンダード(二重基準)」である。

 しかも、今回の件を審議したBPOの委員の中には、沖縄の反基地番組に出演している弁護士が含まれている。明らかに中立性を欠く人選だ。なぜMXテレビはこれらについて正式に抗議できなかったのか。むしろ、MXはBPOの側に立って、『ニュース女子』への考査(事実上の検閲)を強めていったという。

 BPOは3月8日に放送人権委員会からMXに対して勧告を出した。「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シン・スゴ)氏に対する名誉毀損の人権侵害があったと認定した。私の知る限りでは、『ニュース女子』側から辛氏に対して再三、出演依頼がなされている。反論の機会を提供するのが目的だ。しかし、辛氏はこれをことごとく断ったという。反基地闘争を率いるリーダーがなぜ絶好の反論の機会を活かさなかったのか。理解に苦しむところだ。

 そもそも、辛氏はこの番組で注目されたことによって、過去の講演会で行っていた過激な演説動画までネット上に拡散してしまった。辛氏は講演の中で「若い者には死んでもらう。爺さん婆さんたちは、嫌がらせをして捕まってください」などと過激な言葉を連発し、運動を煽っていたことがうかがえる。本人は冗談のつもりかもしれないが、実際に反対派の暴力動画を見せられた後にこの発言を聞くと笑うに笑えない。つまり、『ニュース女子』が違った角度から沖縄問題に光を当てたことによって、多くの人が関心を持ってネット検索したということだ。それは沖縄の実態とはかけ離れたストーリーの中に押し込めておきたい人々にとっては非常に都合の悪い話だったのだろう。

 『ニュース女子』はMXの再送信がなくなるだけで、他の地方局およびネットでの配信は続く。冒頭の朝日新聞の記事をミスリードして番組打ち切りに沸いていた左巻きにとっては残念な結果だったに違いない。しかし、もっとダメージを受けている人がいる。それはMXテレビである。

 『ニュース女子』のMXテレビ撤退は、むしろDHCテレビが望んだものだ。MXがあまりに放送内容に介入するので、もう配信を止めたいと思っていたそうだ。しかも、DHCはこれまでMXに出稿していた広告を全てキャンセルしてしまった。一番多い時期でMXの広告収入の2割、現在でも11・5%を占める広告が一瞬にして消滅したのである。普通の会社なら担当者は左遷、担当役員はクビになるだろう。
東京MXテレビの番組「ニュース女子」について会見する放送倫理・番組向上機構(BPO)の川端和治委員長(左)ら=2017年12月14日、東京都千代田区
「ニュース女子」について会見する放送倫理・番組向上機構(BPO)の委員ら=2017年12月14日、東京都千代田区
 マスコミはノイズしか拾わない。まさに今回の朝日新聞の記事はノイズそのものだった。

 なお、岩手めんこいテレビ、奈良テレビなどの地方局で引き続き『ニュース女子』は放映されるそうだ。もちろん、ネットでもアップされる。安心してこの番組をお楽しみいただきたい。