もともと「倫理」の「倫」というのは「相手」という意味であり、相手(倫)のことわり(理)を守ることが基本である。倫理の黄金律の一つに「相手のしてほしいことをしなさい」というのがあるが、まさにそれを示している。

 したがって、BPOは『ニュース女子』の問題に対して視聴者にアンケートなどの調査を行い、視聴者(倫)が求めるものと異なったことを放送したかどうかを審査することしか許されないはずである。それに、審査に当たった委員が、視聴者より際立って「倫理的に優れている」という証明もなされていない。

 第二に、今回の沖縄基地反対デモに関しての報道で人権侵害を訴え、審査で認められた市民団体の共同代表は外国人である。外国人の日本国における「人権」の中に「日本の国防に関する行動の権利」が与えられているか、それが法律的に与えられているのか、倫理的に与えられているかを明確にしなければならない。

 もし、法律において、外国人が日本国内で反日的な言動をすることが許されていなければ、法律に基づき処罰されるはずである。法律的に許されている場合は「倫理的に許されるか」検討が必要だが、今回の決定にそれは含まれていない。

 また、今回の審査に当たった委員の中に弁護士や、特に倫理的な活動で社会の評価を受けた人(例えば、学術論文、倫理関係の受賞、著作)が少ないことも問題である。先述の通り、もともと「倫理」とは、「法律」と全く異なるものである。だから、法曹関係者は、一般的に倫理について全くの「門外漢」である。法に触れるなら法で処理すべきであり、法に触れないなら法曹関係者は無知であろう。

 また、BPOは第三者機関とはいえ、NHKと民放各局など放送関係機関が設立した「内部組織」であり、外部の承認などを得ているわけではない。したがって、審査内容などを積極的に外部に公表する必要はなく、あくまで内部での参考にとどめるべきである。
2017年3月下旬、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が発足から10年を迎え、行われた記念シンポジウムで発言する川端和治委員長(中央)
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会の記念シンポジウムに登壇する委員ら=2017年3月
 以上の点で、現在のBPOは「倫理」という名前を含んでいるものの、倫理とは全く異なる組織である。規定に基づく審査方法は倫理に反し、委員の選任も恣意的であり、審査結果の公表自体も趣旨に合致していない。倫理とは基本的に論理的でなければならず、『ニュース女子』の審議のように、情緒的なやり方が続けば、わが国の報道に悪影響を与えるだろう。仮にも「倫理」を標榜(ひょうぼう)するなら、関係者は自己批判を行い、辞任すべきである。

 放送は特定の権利を与えられている機関が、地上波や衛星波などを通じて独占的に実施している。ところが現在、視聴者である国民が最も困っているのは、地上波が当たり障りのない放送、保身的な報道に終始して「国民の知る権利を奪っている」ことだ。

 BPOの勧告を受けた『ニュース女子』が、番組で取り上げた対象はあくまで「デモ行為」であって「個人」ではない。「デモ行為」の事実や、正当性などが個人に及んでいないにもかかわらず、人権問題として取り上げられ、放送の受益者たる視聴者の権利が一切検討されていないことは大きな問題である。

 したがって、『ニュース女子』をめぐるBPOの放送倫理の審査が「放送局の論理、保身、社会に対する隠れみの」として実施されたことを考えれば、BPOは倫理的に解散が必要である。いや、自主解散する以外にないと思う。