平本淳也(作家、元ジャニーズ所属タレント)

 『うわさのキッス』がとんでもない「衝撃のキッス」になってしまった。TOKIOメンバー、山口達也が女子高生に無理やりキスをしたとして強制わいせつ容疑で書類送検された事件は、レギュラー番組やCM、ファンの心理などを鑑みれば、ジャニーズ史上類を見ない危機といえるだろう。

 かつてジャニーズ所属タレントだった筆者も、数々の不祥事を目の当たりにしてきたが、今回の事件は取り返しがつかない事態という感が強い。芸能界に長く君臨するジャニーズがこの危機をどう乗り切るかは実に興味深く、注目に値する。

 とはいえ、ジャニーズだけでなく男性アイドルにとって「よくある」トラブルであることは言うまでもない。「自宅に呼んだ女性を酒の勢いで…」という山口達也のような行為は、男性アイドルだけではなく、お笑い芸人や俳優などの周辺ではごく日常的な話であり、別段驚きもない。不謹慎な言い方だが、驚きといえば、なぜ刑事事件に発展する事態を招いてしまったのか、という点である。

 具体的には記載できないが、同様のトラブルが起きた場合、ジャニーズの人気アイドル級になれば、和解のための示談交渉などに億単位のカネが動くことはざらにある。たとえ「実弾」(カネ)が動かなくても、内々に解決する方法もあったはずだ。

 では、なぜこのような事態に発展したのか。一言で言えば、これは山口達也の人間性に行き着く。つまり、もう46歳にもなった山口達也が「事の重大さ」を理解できなかったことに他ならない。だが、山口達也という人間を少しでも知っていれば、「やっぱり」という印象を持つ人もきっと多いだろう。

 筆者からすれば、事の重大さを理解できなかっただけでなく、人気アイドルとしての危機意識があまりに薄い、甘さが露呈したと思っている。この件について関係者に聞くところでは、事務所への報告どころか、当時は泥酔していてメンバーにさえ相談もしていなかったようだ。

 ただ、山口達也といえばアイドルの中でも「ベテラン」だ。当たり前だが、ジャニーズタレントが女性にモテることは、身を持って知っている。一度でも経験すれば、嫌というほど分かるが、日ごろから多くの誘惑に囲まれる。
記者会見するTOKIOの山口達也メンバー=2018年4月、東京都千代田区(松本健吾撮影)
記者会見するTOKIOの山口達也メンバー=2018年4月、東京都千代田区(松本健吾撮影)
 よくある話だが、デビューした後、急に親戚や友人が増えたり、よく分からない組織や団体に誘われたり、安倍首相の昭恵夫人ではないが「利用」されることも珍しくない。

 こうした中で、最も危機意識を持たなければならないのが「異性」であることも承知の上だろう。ジャニーズの場合は「同性」という相手もいるが、スキャンダルの基本は異性関係である。

 とはいえ、アイドルと言えども生身の人間だ。プライベートはガチガチに管理され、世間の目から逃れられない生活はストレスも人一倍大きい。山口達也の行為も理解できないわけではない。

 ただ、日ごろから「ご飯、連れて行ってください」「飲みに行きましょう」「お家に遊びに行っていいですか?」といった類の誘いは後を絶たない。年齢を問わず、女性からの誘いもあまたあり、もちろん「すべてOK!」ということではなく、「選別」することもしばしばある。