森口将之(モータージャーナリスト)

 あおり運転は「路上のクレーマー」のような存在だと考えている。ささいなことを取り上げて激高する様子がクレーマーを思わせるからだ。ささいと書いたように、被害者に大きな落ち度はないことでも共通している。こういうケースに話し合いで何でも解決できると自信を見せる人がときどきいるが、クレーマー相手に話し合いなど通用しない。それを多くの人に知らしめたのが、昨年6月、神奈川県の東名高速道路であおり運転により夫婦が死亡した事故だった。

 それでは、あおり運転をされた場合にどうすればよいか。人や車が多くいる場所、つまり高速道路ならサービスエリア、一般道路であればショッピングセンターなどの駐車場に入り、車を降りずに待機するという行動は、対策の一つとして考えられるかもしれない。

 人目を気にして加害者がわれに返ることがあるかもしれないし、仮に車両を襲ってくるような事態なら、周囲の人々が警察や道路緊急ダイヤル(#9910)などに通報してくれる可能性もある。加害者が車から降りてきたら、逆に発進することでその場を逃れることもできるのである。

 ただ、こうした行動については、犯罪心理学の専門家のほうが、より的確な回答をしてくれそうだ。筆者はモータージャーナリストなので技術的観点からいくつかの対策を考えた。

 多くの人がまず思いつくのはドライブレコーダーだろう。今年1月、神奈川県の横浜横須賀道路でごみ収集車が横転した事故では、収集車に付いていたドライブレコーダーなどからあおり運転の加害者を特定し、逮捕につながった。

 これに限らず、警察ではドライブレコーダーをあおり運転摘発の証拠として採用し始めており、有効な装備として位置付けられつつある。実際に半年ぐらい前から、ドライブレコーダーの売れ行きは急激に伸びている。

 電子情報技術産業協会(JEITA)とドライブレコーダー協議会がまとめた2017年度ドライブレコーダー統計出荷実績(コンシューマー用と業務用の合計)によると、第1四半期(4〜6月)が約41万台、第2四半期(7〜9月)が約43万台だったのに対し、第3四半期(10~12月)は約85万台とほぼ倍増した。最近は前方のみならず後方、さらには360度記録可能な製品も登場している。ドライブレコーダーの購入を考える人の多くは、こうした多機能型に注目しているというデータもある。
2017年6月に東名高速での夫婦死亡事故が発生したのを受けて、状況を客観的に記録でき、トラブル回避に有効なドライブレコーダーへの注目が高まっている(飯田英男撮影)
2017年6月に東名高速での夫婦死亡事故が発生したのを受けて、状況を客観的に記録でき、トラブル回避に有効なドライブレコーダーへの注目が高まっている(飯田英男撮影)
 筆者も先日、車庫入れなどの際に重宝するリアカメラをドライブレコーダーのカメラとして活用した製品をテストする機会があった。私が使用しているドライブレコーダーは昔の製品であり、前方の画像のみを記録する単機能タイプなので、正直うらやましいと思った。

 もう一つ、最近の自動車の装備で、あおり運転対策に効果がありそうなのが、緊急通報サービスだ。例えば、レクサスの「ヘルプネット」では、ボタンを押すだけで登録ナンバーや現在位置などの情報をヘルプネットセンターへ自動送信し、車両に一定以上の衝撃が加わった場合にはボタン操作なしでつながる。呼びかけに応えない場合は即座にオペレーターが救急車の出動を要請するという。