各種統計により「自宅に置かれる現金」の急増が明らかになってきた。第一生命経済研究所の推計によると、総額約43兆円にのぼるという。それに伴い、金庫も昨今よく売れているという。ただし、自宅に大金を置くことにはリスクもある。盗難リスクにはどう備えるべきなのか。安全生活アドバイザーの佐伯幸子氏はこういう。

「現金や貴重品を入れる金庫は常時カギをかけるのが当たり前ですが、家そのものについても同じ発想をしてほしい。たとえば風呂場の窓は格子があるから大丈夫だろう、と換気のために開け放す家が少なくありませんが、格子のビスを外せば簡単に入られてしまいます。侵入を許すような住まいでは頑丈な金庫も意味は半減します」

 佐伯氏は金庫の隠し場所を一生懸命考えることよりも、自宅の施錠を徹底することを優先すべきだと強調する。さらに「情報を漏らさない」ことも重要だと付け加える。

「2009年に東京都板橋区で資産家の夫婦が自宅で強盗に遭い、放火・殺害されるという事件が起きました。地元で有名な資産家だったといいます。“あの家には多額のお金がある”という情報、噂が広がることが一番のリスクです。

 たとえば近所のファミレスやコーヒーショップなどで何気なく世間話をする中で、『金利が低いから、全部家に置いてあるのよ』などと話すのは御法度。たとえ周りにいる人が信頼できる人でも、情報がどこをどう巡って悪意のある人にたどり着くかはわかりません。現金を家にどのくらい置いてあるかは、外では絶対に口にしないことです」

 災害リスクもある。地震や水害、火災などに遭った際、家に置いていた現金はどうなるのか。金庫メーカー大手の日本アイ・エス・ケイの広報担当者はこういう。

「お客様が耐火金庫を求める理由の一つとして、東日本大震災があります。当時、津波で流されてしまった耐火金庫5700個が持ち主の手元に返ってきて、戻ってきた金額は総計22億円にのぼったという報道がありました」
(iStock)
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 それらのケースでは、現金以外に通帳や印鑑などが中に入っていたため、持ち主の特定につながったという。

 まとまったお金は銀行に預けるのが当たり前──そんな常識は壊れつつある。政府も銀行も信用せず、「自分のお金は自分で守る」という決意を持った国民は、確実に増えている。

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