自衛隊を忌避するNHKドラマ
話を「あまちゃん」に戻そう。仏紙「ル・モンド」など海外メディアも取り上げた一大ブームを起こした大ヒット作品である。その影響は計り知れない。すでに続編制作が取りざたされている。平成25年9月5日の定例会見で松本正之会長が「そういうことができないかなと、私も内部で話している」とコメント。前向きな姿勢を示した。
もし、続編が出来るのなら、今度は自衛隊の活躍も描いてほしい。韓国ではなく、アメリカや台湾の支援や義捐を踏まえた描写をお願いする。
朝ドラが自衛隊を描かなかった真意は知る由もないが、おおかた想像はつく。そもそもNHKは自衛隊に好意的でない。おそらく敵意を抱いている。
平成22年6月11日正午のニュースで陸上自衛隊のレンジャー訓練の光景を報じたが、「市街地では40年ぶり」とコメントしながら、被せたテロップが「一部住民から反対の声も」。なぜ、いつもこうなのか。
戦前の日本軍に至っては露骨な敵意を示す。朝の連続テレビも例外でない。たとえば、人気女優の井上真央さんが主演した「おひさま」(平成23年前期)がそうだ。舞台は「激動の昭和」で「軍事色に染まった教育や、貧困・空腹・親の死などに耐える子どもたちを目の前に戸惑いながら」云々の内容であり、これが連続テレビ放送開始50周年の記念作品だった。こうした番組には、反日的な暗黒史観を無意識のように刷り込んでいく凄まじいインパクトがある。
日本軍を悪く描いた作品は枚挙に暇がないが、他方で自衛隊を肯定的に描いたドラマはない。いや、それ以前に、これまで一度も自衛隊を扱ってこなかった。単なる偶然ではあるまい。
冒頭で敷衍した「半沢直樹」と同じTBS「日曜劇場」の前の作品は「空飛ぶ広報室」であった。空幕広報室つまり航空自衛隊を舞台としたドラマである。自衛官が「専守防衛」を得々と語る場面など、個人的には頂けない場面もあったが、総じて自衛隊を好意的に描いた。なにしろ朝日新聞が「愛国エンタメ」と揶揄したくらいである。このドラマが自衛隊に及ぼした肯定的な影響は大きい。
民放である東京放送(TBS)にできたことなのだ。公共放送NHKにできないはずがない。できないのではなく、あえてドラマ化しない。意図的に避けている。だから「あまちゃん」にも登場しなかった。そういうことであろう。
「警察、消防、海上保安庁を始めとする国や地方自治体の人々」は繰り返し、ドラマ化されてきたのに、彼らに先んじて陛下が挙げた自衛隊だけはドラマ化されてこなかった。ようやくTBSがドラマ化したが、NHKは震災をテーマにした「あまちゃん」でも自衛隊を拒否ないし無視した。
たとえば『外事警察』はドラマ化しても、けっして自衛隊は扱わない。警察と同様、善かれ悪しかれ影響力の大きな実力組織なのに、どうして素材にしないのか。本物の表現者なら、クリエイティブ感覚のあるプロデューサーなら、扱いたいと思うはずだ。
ちなみに『外事警察』は、NHK出版から刊行された麻生幾著の同名小説が原案である。小説には外事警察官に対するリスペクトも見られたが、ドラマや映画にそうした姿勢はなかった。それどころか、「これが本当に正義なのか?」と大書した宣伝ポスターが全国に貼られ、映像でも暗く否定的に描かれた。ストーリーは低俗なCIA陰謀論。警視庁公安部はじめ外事警察官の失笑と反発を招いたのは言うまでもない。
