つねにパシフィズムしか奏でない
放送法第四条は「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」も求めている。
だが、司馬史観(ないし東京裁判史観)について、NHKが疑問を示したことがあっただろうか。主要な報道番組に限って言えば、少なくともこの十数年間ない。保守派がキャスターやメインゲストを務めた番組もない。防衛問題でも護憲平和のパシフィズムを奏で続けている。
たとえば平成25年6月23日、沖縄「慰霊の日」を伝えた「ニュース7」。「戦争はいやだ」云々の大合唱を報じるパシフィズム一色の内容だった。「基地があるから戦争が起きる」との声も報じた。善かれ悪しかれ、人間に理性があるから戦争が起こる。基地をなくしても、戦争はなくならない。私はそう思うが、NHKはそう思わないのであろう。
米軍の新型輸送機オスプレイを巡る報道も酷い。危険性を言いつのり、不安を煽る。平成25年夏、沖縄の在日米軍基地内で米軍輸送機が墜落する事故が起きた。トモダチ作戦にも従事した機種であり、日本有事に際し、日本防衛の役割も担う米軍人が殉職したが、NHKは哀悼の言葉を捧げることもなく、「オスプレイ反対のなか」云々と危険性だけを扇情的に報じた(「ニュースウオッチ9」ほか)。公式サイトから一例を引こう(「負担軽減? オスプレイ本土訓練」)。
「沖縄では、日米両政府の合意に反するとされる住宅密集地上空での低空飛行や、夜10時以降の飛行がたびたび目撃され、配備の見直しを求める声が今でも続いています」
以下「オスプレイが沖縄以外の地域で訓練に参加する」ことが「負担軽減につながるのでしょうか?」と問題提起した上でこう質疑応答を続ける。
《沖縄県内では引き続き日常的に飛行するオスプレイが確認されています。負担軽減はまやかしに過ぎないという批判の声もあります。(中略)新たな負担を各地に拡散するだけと指摘する専門家もいます。
Q.難しい問題ですね?
A.(前略)政府が言う「負担軽減策」は、辺野古移設に向けて飴をぶら下げているだけという見方も地元からは上がっています。沖縄の不信感を拭うことは簡単なことではないと思います》
明らかに偏向している。「負担軽減はまやかし」、「新たな負担を各地に拡散するだけ」、「飴をぶら下げているだけ」。そこまで言うなら、辺野古以外の解決策を示してほしい。これでは単なるイチャモンではないか。
最近では無人機への批判も激しい。平成25年9月26日の「クローズアップ現代」が無人機などロボット兵器を特集。倫理的問題を指摘し、開発を凍結すべきと主張した。
ならば今後、無人機を導入する自衛隊は浮かばれない。無人機は間違いなく自衛官の犠牲を極小化するが、そうした側面はなぜか報じない。米無人機は批判しても、無人機開発を続ける中国は批判しない。
同様に11月7日のBS1「ワールド・ウェーブ・トゥナイト」も「米無人機攻撃の実態」を特集。「パキスタン住民の怒りは当然」など非難一色だった。同日の「ニュースウオッチ9」も無人機を扱った。題して「殺人ロボットの恐怖」。
男性キャスターいわく「ロボット兵器が行き着く先は、自ら判断して人の命を奪う殺人ロボットの登場と言えそうです」。
ならば自衛隊の主力装備も、火器管制を「オート」に設定すれば、「自ら判断して人の命を奪う殺人ロボット」と言えよう。
女性キャスターいわく「今が禁止のタイミング」。続けて男性キャスター「日本は今が動くときだと言っていいと思います」。
これが「できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」報道なのか。これでは無人機開発に当たる防衛省技官は浮かばれない。
ちなみに続く特定秘密法案のニュースでも、「知る権利が重要」などと法案に否定的な脈絡で報じた。いずれも、ちょうど日本人の若田光一船長らが宇宙ステーションに乗り移ろうとする最中。その映像に先んじて取り上げた姿勢は普通でない。
同様に、7月30日の「クローズアップ現代」のテーマは、漫画「はだしのゲン」。案の定「世界が共感 はだしのゲンの魅力」等々の礼賛一色で、批判は一切なかった。せめて「できるだけ多くの角度から」論点を明らかにすべきではないだろうか。
