「周辺諸国の皆様のNHK」から脱皮せよ
皇室報道にも首をかしげる。なぜ陛下や殿下でなく「さま」なのか。天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は「陛下」。他の皇族の敬称は「殿下」。そう法律で明記されている(皇室典範第二十三条)。遵守してほしい。
皇室を「王家」と連呼した大河ドラマ「平清盛」も忘れてならない。批判を受け、平成24年1月23日付産経新聞朝刊で、大河の時代考証者が「なぜ皇室という言葉を用いなかったか。ひとことで言えば、『平清盛』の時代には使われていなかったから」と「解説」した。制作サイドの釈明と受け止めた上で問題提起する。
ならば今後、NHKは「太平洋戦争」とも「日中戦争」とも呼んではならない。戦前の支那を「中国」と呼ぶのも御法度である。その時代には使われていなかったのだから。今後は「大東亜戦争」と「支那事変」で統一してほしい。
平成24年9月15日放送のドラマ「負けて、勝つ」は吉田茂の生涯を描いた。作品中、終戦直後なのに、日本の閣僚(を演じた役者)が「天皇制」と呼んでいた。当時それはあり得ない(天皇制はコミンテルンの造語)。無知ゆえのミスか、それとも確信犯か。いずれにせよNHKの体質が露呈した場面であった。彼らにとって皇室伝統は守るべき対象ですらないのであろう。
現在、会長人事が取り沙汰されている。一部経営委員の顔ぶれも変わった。できれば長谷川三千子氏には看板番組のキャスターを務めてほしい。同様に百田尚樹氏の作品をNHKがドラマ化すべきだ。経営委員就任がその阻害要因となるなら、もったいない。以上とは正反対の趣旨から、11月2日付朝日朝刊コラム「天声人語」がこう皮肉った。
《新任のNHK経営委員を首相にごく近い人たちで固めたがる。どこか怖いものなしの感がある▼(中略)案じる声は少なくない。「みなさまのNHK」が「あべさまのNHK」にならないか、と。》
あえて右の皮肉を借りよう。「周辺諸国の皆様のNHK」から「安倍カラーの濃いNHK」になるべきだ。それが言い過ぎなら、「日本人のNHK」ないし「日本のNHK」に生まれ変わるべきだ。そうならない限り、彼らに「日本放送協会」を、日本の公共放送を名乗る資格はない。
うしお・まさと 作家、評論家。拓殖大学客員教授。国基研客員研究員。岡崎研特別研究員。東海大学講師。防衛庁・空自勤務、聖学院大専任講師、防衛庁広報誌編集長、帝京大准教授など歴任。著書、TV出演等多数。『日本人として読んでおきたい保守の名著』(PHP新書)、『常識としての軍事学』、『日本人が知らない安全保障学』(ともに中公新書ラクレ)。
うしお・まさと 作家、評論家。拓殖大学客員教授。国基研客員研究員。岡崎研特別研究員。東海大学講師。防衛庁・空自勤務、聖学院大専任講師、防衛庁広報誌編集長、帝京大准教授など歴任。著書、TV出演等多数。『日本人として読んでおきたい保守の名著』(PHP新書)、『常識としての軍事学』、『日本人が知らない安全保障学』(ともに中公新書ラクレ)。
関連記事
■ テレビがつまらなくなった3つの理由
■ アナウンサーには「清廉さ」は間違いなく必要です
■ 2015年は生き残りをかけて新聞が“二極化”する
■ 日テレ内定取り消し騒動に見る「女子アナというガラパゴス」
